金融リテラシーの低い日本人を狙う金融機関の「甘い誘惑」
2019年の金融庁の報告書が発端となり話題となった「老後2000万円問題」などもあり、将来への不安から資産形成への関心は日に日に高まっています。
金融広報中央委員会『令和3年家計の金融行動に関する世論調査』によると、金融資産の保有率は78.0%。約8割の人が、将来を見据えてかは別として、資産運用をしています。その保有額の平均値は2,024万円、中央値は800万円。手取り収入から平均11%を貯蓄にまわしていました。
そんな資産運用、「1年前と比較して増えた」という人は37.5%、「減った」という人は21.3%。コロナ禍という難しい局面のなか、5人に1人は資産を減らしました。
また資産運用において「元本割れ」を経験した人の割合は37.9%。そのことに対して、おおよそ8%、12人に1人が「金融機関が悪い」としています。
【元本割れの経験の受け止め方】
- 自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない:73.8%
- 自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない:17.7%
- 相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ:4.5%
- 著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ:4.1%
日本は国際的にみて金融リテラシーが低いことは、わたしたちも知るところ。金融広報中央委員会『金融リテラシー調査(2019年)』によると、米国調査との比較では、正誤問題の正答率で「米国」53%に対して「日本」は47%。OECD調査との比較では、正誤問題の正答率で「フランス」72%、「ドイツ」67%、「英国」63%。「日本」は60%でした。
金融リテラシーの低さに加えて、金融機関への信頼感が組み合わさり、「銀行さんが勧めてくれる商品だから」と金融商品を購入し、思わぬ損を被る人は少なくないようです。