これから給与は増えていくから…売り文句にのせられ、借入をしたけれど
20代後半の平均年収は450万円程度。住宅ローンを活用する際、年収に占める返済額の割合である返済負担率は、年収400万円以下であれば30%、年収400万円以上であれば35%といわれています。20代後半でローンを利用するとなると、年間155万円、月々の返済は13万円が限度といったところでしょうか。
【年齢別「月収」と「推定年収」】
20~24歳:254,400 円/3,399,300 円
25~29歳:306,500 円/4,476,500 円
30~34歳:355,500 円/5,274,100 円
35~39歳:407,800 円/6,168,400 円
40~44歳:442,100 円/6,760,900 円
45~49歳:478,600 円/7,385,100 円
50~54歳:528,600 円/8,315,300 円
55~59歳:523,700 円/8,145,400 円
60~64歳:392,700 円/5,684,100 円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
※数値左:月収、数義右:推定年収
また年功序列の傾向がまだまだ強い日本。これからも年収が増えていくことを前提に考えると、返済負担率の上限ギリギリで借入をしても、年々ローン負担は軽くなるだろう、と考える人も多いでしょう。実際、40代前半の推定年収からすれば、年間155万円のローン返済であれば負担率は22%。余裕のあるローン返済となる水準です。
ただ目論み通りいかない場合はどうでしょうか。平均値で考えると、20代後半で月収30万円、手取りで23万円程度だった収入は、40代で月収45万円、手取りで33万円程度になっているはず……では平均値どおりの給与を得ている人は、どれほどいるのでしょうか。給与分布をみていくと、40代で月収45万円超を実現しているのは、22%程度。およそ5人に1人の割合です。平均値達成で、いわゆる「勝ち組」といえることがわかります。そのとおりに給与が増えたなら別に問題はありませんが、その通りにいかなかったら……ローンの負担率はギリギリといった状態が続きます。
20代でマイホームを実現させた場合の40代、子どもがいれば教育費の負担も年々重くなっていくころ。子どもの教育費を削る=節約する、というのは難しいと考える人は多く、給与増が叶えられていなければ、家計はかなり厳しくなります。月々13万円の返済もできなくなり、破綻、またはせっかくのマイホームを手放す決断をせざるを得なくなる事態に陥ることも十分に考えられます。
20代であれば、金融機関は「若いのでお金貸せますよ」と太鼓判を押してくれるでしょう。将来、給与が増えることを見越して上限ギリギリいっぱいでお金を借りる人も大勢います。しかし年齢と共に給与が増えていく保証はどこにもありません。借入時点で余裕のある返済プランを組むことが、長期戦となるローン返済を頓挫させない最善策といえるでしょう。