多くの人にとって「人生で最も高額な買い物」となるマイホーム。購入時、ほとんどの場合住宅ローンを組みますが、そこで頭を悩ませるのが「頭金をいくらいれるか」。なかには「頭金ゼロ」、つまり「全額ローン」で住宅購入を考えるケースも。しかしフルローン利用者は、いま破綻予備軍として心配されているようです。みていきましょう。
全額ローンで家を買った普通の会社員…毎月の返済額に「もう、ムリ」

夢のマイホーム…購入のタイミングはいつごろ?

国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』によると、マイホームを購入する人は、おおよそ40歳前後が多いようです。

 

【スタイル別「住宅購入者の平均像」】

■新築注文住宅

世帯平均年収 738.0万円

世帯主平均年齢 40.4歳

購入資金(住宅+土地) 4,606万円(うちローン3,409万円)

住宅建築資金返済期間 32.1年

土地購入資金返済期間 33.8年

 

■新築分譲住宅(一戸建て)

世帯平均年収 688万円

世帯主平均年齢 39.6歳

購入資金 3,826万円(うちローン2,855万円)

平均返済期間 32.7年

 

■新築分譲住宅(マンション)

世帯平均年収 798万円

世帯主平均年齢 43.5歳

購入資金 4,639万円(うちローン3,050万円)

平均返済期間 31.5年

 

多くの人にとって「人生で最も高額な買い物」となるであろうマイホーム。何千万円もする買い物ですから、ほとんどの場合、住宅ローンを利用することになります。

 

どれほどローンを活用してもいいのか、さまざま主張がありますが、よく言われるのが、返済負担率です。

 

返済負担率とは、税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことで、 長期固定型の住宅ローン「フラット35」で、「年収400万円以上の場合、借入限度額を返済率35%以下」とされていることから、負担率の上限は35%というのが通説です。この35%以内を実現するためには、それなりにまとまった額の頭金を用意する必要があります。

 

ただし、「一般的な会社員」が40歳までにまとまった額の頭金を準備することは、決して簡単なことではありません。

 

国税庁『令和2年民間給与実態統計調査』によると、平均年収(1年を通じて勤務した給与所得者による)は433万円でした。これは1990年代初頭と同じ水準です。

 

また、OECDによる製造業の給与の伸び率をみてみると、2020年、日本は32ヵ国中32位。先進7ヵ国に絞って経年でみても、バブル崩壊以降、日本は最下位の常連です。

 

このような状況下、現在の低金利環境を利用して「頭金なしで、全額ローンで家を買おうか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

 

頭金なしで、全額ローンで家を買うことは可能なのか……結論からいうと、できます。住宅購入時のお金は、「頭金」「住宅ローン」「諸費用」の3つに分かれ、住宅価格の全額をローンでまかなうことを「フルローン」と呼びます。

 

大手金融機関はフルローンに後ろ向きですが、ネット銀行を中心にフルローンを提供しています。ちなみに金融機関によっては諸費用も合わせて借り入れることができる「オーバーローン」もあります。