RSウイルスに「特効薬」はない
早産児や先天的な心臓病などの基礎疾患のある子どもは、一定の年齢まで、シーズン毎に1ヵ月に1回、RSウイルスに対する抗体を投与しています。この抗体を打っていれば、予防効果は完璧ではないものの、ある程度重症化を予防することができるといわれています。
前述したように、RSウイルスに対する特効薬はなく、発症したら、症状をなるべく軽くするような対症療法を行って、子どもの体力をなるべく使わないようにサポートしてあげるしかありません。
熱が高ければ呼吸がさらに苦しくなるので、解熱薬を積極的に使い、鼻汁で哺乳や食事ができないようであれば点滴をしたり鼻水を積極的に吸ってあげ、呼吸しやすいように加湿をかけてあげるような吸入をしたり、背中をタッピングして排痰を促したりして、なるべく楽に過ごせるようにします。
ときには細菌の合併感染もあるので、その場合は抗生剤を使います。こうして時間を稼いでいるうちに徐々に自身の免疫力でウイルスをやっつけられるようにします。
早産児や先天的な心臓病などの基礎疾患のある子どもは、一定の年齢まで、シーズン毎に1ヵ月に1回、RSウイルスに対する抗体を投与しています。この抗体を打っていれば、予防効果は完璧ではないものの、ある程度の重症化予防効果はあります。
コロナ禍におけるRSウイルス感染の特徴とは
以前までは、保育園児はだいたい集団で過ごす最初の冬に、RSウイルス感染との遭遇がありました。ところが、この2年間ほとんどRSウイルスの流行が見られなかったために、いまの3歳くらいから下の年齢では、恐らくRSウイルスが流行すれば、初感染になる可能性が高くなります。
初感染であっても年齢が高くなれば、重症化のリスクはそれなりに下がりますが、それでも免疫はあまり持っていないと思われるので、いままでとは違って急に悪くなるリスクはあると考えられます。
周りの多くの人が抗体を持っていなければ、集団免疫の力が弱まるということなので、この先大流行を起こしてもおかしくありません。特に、下に小さな弟や妹がいる場合は、家族内感染を起こして下の子が重症化することもあり、家庭内での感染対策が重要になります。
感染症の季節感もなくなってきていますので、今後の発生動向には十分注意してください。
医療法人 啓信会きづ川クリニック
米田 真紀子
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