コロナ禍の陰で流行中…RSウイルスとは
RSウイルスとは、Respiratory Syncytial Virusの略ですが、子どもから大人まで、呼吸器感染を起こす代表的なウイルスです。1歳までの小児の50%、そして2歳までにはほぼ100%が罹患するウイルスで、従来は11月から12月に流行が見られていました。
RSウイルスに感染すると、5日程度の潜伏期のあと、鼻水、痰がらみの咳、発熱(見られないこともあります)などの風邪症状が見られます。
そして、特に1歳台までの低年齢ではそうした初期症状が数日続いたあとに、喘息のような荒い呼吸になったり、咳がひどくなったり、20%くらいの確率で肺炎に移行したりすることもあります。1-2ヵ月くらいまでの赤ちゃんが感染すると、突然呼吸を止めてしまう、「無呼吸発作」を起こしてしまうこともあり、非常に注意が必要な感染症です。
一般的には3歳以降では、RSウイルスには感染しても、初感染ではないので、感染を繰り返すうちに症状はだんだん軽くなっていき、通常の風邪ウイルスと見分けがつきにくくなっていきます。
大人は軽症だが…子どもと高齢者は「命の危険」も
RSウイルスの感染経路は主に飛沫感染で、感染者の鼻汁やよだれなどの飛沫にウイルスが含まれ、それが他の人の体内に取り込まれることによって、感染が広がります。特に感染予防が難しい保育園児などの低年齢では感染が広がりやすく、ときにクラスがほぼ全滅してしまうというような話も聞くほど、感染力は強いです。
また、大人もRSウイルスにはかかりますが、大抵は軽症です。ただし、高齢者では施設などで集団感染を起こしたり、基礎疾患がある高齢者では重症化したり死亡したりすることもある病気です。
コロナ禍が長くなり、集団免疫の力が弱まったことにより、従来の感染対策をしていても流行が抑えられなくなってきている可能性があります。
RSウイルスの診断方法
RSウイルスの診断方法は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスと同じように、鼻咽頭へ細い綿棒を入れて行う抗原迅速検査が主流です。病院によってはRSウイルスを含めた多種ウイルスを同時に検出できるPCR検査を導入しているところもあります。
ただし、RSウイルスの検査の保険適応は0歳台のみで、それ以外は基本的には入院を要する症例しか行えません。希望すれば自費診療で3000円程度の負担で検査の対応をしてくれるところもあります。
しかしコロナ禍にあって防護服を着て検査をしてくれる施設自体が減っているため、また後述するようにたとえ診断できたとしてもRSウイルスに対する特有の治療はないため、不快な検査をするメリットはあまりないかもしれません。