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連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法【第173回】

コロナワクチン4回目接種は「オミクロン株BA.5」に有効?「免疫力の評価」の実情【医師が解説】

新型コロナに対する免疫について考えるときの注意点

カラダの不調コロナ対策ワクチン接種

コロナワクチン4回目接種は「オミクロン株BA.5」に有効?「免疫力の評価」の実情【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

オミクロン株BA.5などの拡大を受け、新型コロナの感染者数が急増しています。ワクチン4回目接種の対象拡大が検討される中、新型コロナに対する自分の免疫力について知りたい、と思われる方は多いでしょう。しかし、新型コロナに対する免疫について理解するのはどんどん難しくなってきているのが実情です。新型コロナの抗体検査およびワクチン接種に携わる現場の医師・小橋友理江氏が解説します。

他の病気のような“抗体のカットオフ値の議論”は難しい

ウイルス感染症には、風疹などのように“抗体値を目安にワクチンの追加接種を決められるもの”と、水痘・帯状疱疹ウイルスのように“ワクチンの追加接種に一般的には抗体価が利用できないもの”がある。

 

新型コロナについてはどうだろうか。新型コロナのワクチンは、武漢株から作られている。ほとんどの中和活性や中和抗体の検査も、武漢株に対しての検査である。しかし現在流行しているのはオミクロン株で、武漢株とは異なる。本当に見たいのはオミクロン株への防御力であり、実は、この株ごとの中和力の強さを見る検査も存在している(ウイルスを使った中和試験、という)。

 

この株ごとに中和力を見る検査の結果によると、同じ血液で、武漢株と比べオミクロン株に対する中和力は1/10よりもさらに減少することが知られている(※1)。このオミクロン株に対する中和力を見る検査を多くの人に行えたら良いのかもしれないが、手間とコストの問題から無理である。

抗体の上がり方・減り方は結局「人それぞれ」だが…

福島ワクチン住民調査(Fukushima vaccination community survey: FVCS ※2)にご協力をいただいている2500人の2回目のワクチン接種後の抗体価の情報を使い、数学的統計手法を用いて、抗体価の推移のグループ分類が行われた(※3)

 

【図表】抗体価の推移の6つのグループ分類

 

抗体の上がりの高さと持続時間から、6つのグループに抗体価の推移が分けられた。これらのグループに一番影響を及ぼす要因は年齢であった。共通して言えるのは、どのグループであっても抗体価は下がる、ということである。

4回目接種は「重症化予防」として実際に有効

4回目接種後に、抗体価は3回目接種後と同程度に上昇することが知られている。しかし現実世界で、感染防御力は4回目接種2ヵ月後には10%以下まで低下するとの報告もある(※3)。これは、4回目接種後に抗体は体内で上がっているが、以前よりもとても感染しやすい株が流行っているので、同じ抗体などの防御力では感染を防げないことを示している。

 

ただ、現実世界で、重症化予防効果は認められており、感染防御よりも重症化予防の意味で60歳以上の方と基礎疾患がある方に、4回目接種が進められている。

重症化予防の効果を考えるために、「細胞性免疫の評価」に期待

新型コロナなどのウイルスに対する免疫は、抗体の免疫(液性免疫)と細胞性免疫の二種類がある。ウイルスが細胞に侵入するまでの防御の主役は、液性免疫(抗体)であり、ウイルスが細胞に侵入した後の防御は細胞性免疫が担うとされている。

 

また、新型コロナに対する抗体と細胞性免疫は、あまり相関がないことが知られている。細胞性免疫も高齢者で低いことが知られているが、抗体ほどは減少が早くないと言われている。今後、重症化予防を考えるために、細胞性免疫の評価が必要である。

 

このように、新型コロナについての自分の免疫を正確に知るのは、まだまだ困難を極めている。しかし、一般的に高齢の方、基礎疾患がある方、免疫抑制剤などの内服をしている方は、特に注意が必要である。現在のところ、正しい知識と感染防御で、一人一人が自分の身を守る努力をする他はない。

 

 

※1 Regev-Yochay G, et.al. Efficacy of a Fourth Dose of Covid-19 mRNA Vaccine against Omicron. N Engl J Med. 2022 Apr 7;386(14):1377-1380. doi: 10.1056/NEJMc2202542. Epub 2022 Mar 16. PMID: 35297591; PMCID: PMC9006792.

 

※2 福島ワクチン住民調査(Fukushima vaccination community survey: FVCS)

福島県立医科大学を主幹施設として、東京大学や名古屋大学の協力の元、医療法人誠励会、相馬市、南相馬市、平田村から住民が参加され、2021年の9月から、3ヵ月おきに5回の抗体検査などが約2500人の住民に対して行われている。2022年7月の時点では、第4回目の検査が進行中である。

 

※3 Nakamura N, et.al. Stratifying elicited antibody dynamics after two doses of SARS-CoV-2 vaccine in a community-based cohort in Fukushima, Japan. medRxiv 2022.06.11.22276266;

doi: https://doi.org/10.1101/2022.06.11.22276266

 

※4  Bar-On YM, et.al. Protection by a Fourth Dose of BNT162b2 against Omicron in Israel. N Engl J Med. 2022 May 5;386(18):1712-1720. doi:10.1056/NEJMoa2201570. Epub 2022 Apr 5. PMID: 35381126; PMCID: PMC9006780.

 

 

小橋 友理江

ひらた中央病院 非常勤医師

福島県立医科大学放射線健康管理学講座博士課程

麻酔科医・内科医

 

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ひらた中央病院 非常勤医師
福島県立医科大学博士課程(放射線健康管理学講座) 麻酔科医・内科医

2014年、和歌山県立医科大学 医学部卒業。麻酔科医・内科医。公衆衛生学修士。越谷市立病院で初期研修、東京都立多摩総合医療センターで後期研修(麻酔)。2018年帝京大学公衆衛生学大学院修士課程。2019年より福島県立医科大学博士課程(放射線健康管理学講座)。サンライズジャパンホスピタル(カンボジア)での勤務などを経て、2020年より、ひらた中央病院の非常勤医師として診療や発熱外来、ワクチン接種などに携わりながら、新型コロナの抗体検査に携わっている。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。

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