人生の最大の買い物であるマイホーム。ローンを利用し、綿密なマネープランのうえで購入するのがセオリーですが、すべての人がそうとは言い切れず、住宅ローン破産のリスクを抱えているといえます。みていきましょう。
手取り「37万円」住宅ローン返済額「12万5,000円」…衝撃の破産を迎える、会社員家族の自業自得 (写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローン利用者…5割が「ローンについて分かっていない」の衝撃

「月々4万円とちょっとの負担増だし……よし、マンション買うか!」

 

思い切って実現する、新築マンション。ただそこに不安がないわけではありません。前述のように、数千万円にもなる買い物ですから、現金一括払い、という人は相当珍しく、通常住宅ローンを利用します。しかし、きちんとローンについて理解して利用しているかといえば疑問符がつきます。

 

住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査』(2022年4月調査)によると、住宅ローン利用者のうち4~5割程度は、住宅ローンの商品特性や金利リスクについて理解が足りていないといいます(「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「まったく理解していない」の合計)。

 

変動金利を選択している利用者について細かくみていくと、「適用金利や返済額の見直しのルール」への理解に対しては43%、「将来の金利上昇によって返済額がどれくらい増えるか」に対しては50.4%、「金利タイプが異なる住宅ローンと比較した際の特徴」に対しては45.9%、「優遇金利の適用ルール」に対しては50.9%、「将来の金利上昇に伴う返済額増加への対応策」に対しては52.6%が、“理解不足”という状況です。

 

超低金利にひかれて、よく理解せずにローンを組んでいる人も多いでしょう。確かにこのような状況では金利を意識することはほとんどなかったでしょう。

 

固定金利は上昇傾向にありますが、変動金利は金融機関同士の競争もあり、急に上がることはないだろう、いまのような低金利の状態はしばらく続く、というのが大方の見方ではあります。しかし前述のとおり、ローンの返済は平均30年を超えるもの。その間、この超低金利が続くというのは非現実的です。

 

月返済額が12万5,000円で30年返済だとすると、金利が1%増えると、月々の負担は1万7,000円ほど増加、金利が2%増えると、さらに1万8,000円ほどの増加となります。このようなリスクを自身は許容できるのか、また実際に金利上昇となった場合には、どのように対策をすればいいのか、しっかりと見据えておかないと、突然返済不能につきローン破産ということもありえるでしょう。

 

せっかく手に入れたマイホーム。最悪の事態を避けるためにも、普段からしっかりとリスクヘッジについて考えておく必要があります。