先週、ニュースをにぎわせた、東京・渋谷駅、駅員vs.乗客の攻防。駅員の言葉遣いに言及する声も聞かれましたが、乗客の行為を否定的に捉える人たちが圧倒的に多くいました。このように、昨今は、いわゆる「カスタマーハラスメント」が社会問題化。企業も対応に迫られています。みていきましょう。
「なんなんだ!その態度は」「山手線止めてんだよ」怒るJR駅員に同情も…急増する「モンスタークレーマー」に注意 (写真はイメージです/PIXTA)

「JR駅員許さん」の想いが暴走!? 動画投稿者への賛同はほぼゼロ

JR山手線「渋谷」駅で、JR駅員が怒鳴る様子を撮った動画が投稿され拡散。地上波のニュースでも大きく報じられ物議を醸しました。駅員が男性に対して怒号を浴びせると、

 

男性「お金取ってくれないじゃないですか」

駅員「なんなんだ! その態度は」

男性「4万円が財布から出てたんですよ」

駅員「交番に行くぞ」

男性「何でですか?」

駅員「山手線止めてんだよ!」

 

そんなやり取りが動画アプリ「TikTok」に投稿されると、ツイッターなどで拡散。いまは投稿は削除されています。

 

そもそも男性が線路をのぞき込んだり、線路に下りようとしたりと危険な行為を繰り返していた事に対して注意をしたところ、突然非常停止ボタンを押すという行為に出た、というのが事の始まり。その部分の動画はなく、駅員が怒鳴りつけるところだけが切り取られていました。

 

それに対し、JR東日本は「行き過ぎた言葉使いがあったことは不適切」と謝罪。しかし国土交通省『鉄道の安全利用に関する手引き』によると、列車非常停止装置(非常停止押しボタン) を押していいのは「プラットホームから線路内に転落した人を見たときなど」とし「急いで列車を停止させる必要があるときに使うもの」としています。財布を落としたときは、これに当たらないのは明白です。

 

「線路に財布を落として困っているのに、こんな目にあった、JR駅員、けしからん」という思いがあったのかもしれませんが、鉄道運行の安全上、男性の行為は悪質なクレーマーとしか見られないでしょう。

 

近年、いわゆる顧客からの悪質なクレーム、理不尽な要求といった「カスタマーハラスメント」が問題視されています。鉄道事業者でいえば、今回のような言いがかりはもちろん、さらには暴力行為に出る顧客に苦慮しています。