先週、ニュースをにぎわせた、東京・渋谷駅、駅員vs.乗客の攻防。駅員の言葉遣いに言及する声も聞かれましたが、乗客の行為を否定的に捉える人たちが圧倒的に多くいました。このように、昨今は、いわゆる「カスタマーハラスメント」が社会問題化。企業も対応に迫られています。みていきましょう。
「なんなんだ!その態度は」「山手線止めてんだよ」怒るJR駅員に同情も…急増する「モンスタークレーマー」に注意 (写真はイメージです/PIXTA)

問題視される駅員への暴力行為…未然に防ぐ

国土交通省によると、2020年度、鉄道係員への暴力は489件。コロナ禍ということもあり、前年611件から172件の減少となりました。その60%が飲酒ありで、飲酒なしが26%、不明が14%。4人に1人は、明らかに正常な判断ができるだろうときに、暴力行為を働いています。

 

いくつかの事例をみていきましょう。

 

◆加害者:20代

駅到着後、車掌はお客さまの降車確認および車内点検を実施中、座席で寝ているお客さまがいたため声を掛けて起こし、お客さまを改札口へ誘導していたところ、突然頭突きされるとともに足を掛けられ押し倒さ れた。

 

◆加害者:30代

係員がホームで、ホームドアから身を乗り出して煙草を吸っていた男性に注意し、その後列車進入直前までホームドアから離れなかったため再度注意したところ、左首筋を殴られた。

 

◆加害者:20~30代

係員は、駅改札内にお客さまが寝ていたので、起こそうと思い声を掛けた。その際、お客さまが起き上がり、急に背中に抱きついてきたので「やめてください」と抵抗した。 その後、振り払うことができたが、何度も抱きついてきて、離れた後も足にしがみつくように離れようとはしなかった。 駅係員に警察を呼ぶようにお願いし、警備員が到着したので、当該お客さまを警備員に引継ぎ、休憩室から当直へ連絡した。

 

すべて飲酒した際の暴力事件ではありますが、それにしてもあまりに理不尽。駅員の苦労が目に浮かびます。鉄道での迷惑行為は、遅延等にも繋がり、利用者全体に影響を及ぼすものです。今回の動画の一見も同様です。

 

――人をぶっちゃダメなんだよ。

――暴力…もう見たくない。

――カッとしても暴力はダメニャ!

 

よく駅などでよく見かける「第三者暴力行為防止ポスター」。暴力行為が発生しやすい夏期に重点的にポスター掲出し、暴力被害件数の減少を図っています。近年は被害件数も減少傾向にあるといいますから、キャッチーなひと言に自制する人も増えているのかもしれません。

 

【鉄道係員に対する暴力行為の発生状況の推移】

2012年:932件

2013年:852件

2014年:887件

2015件:878件

2016年:825件

2017件:679件

2018年:670件

2019年:611件

2020年:489件

出所:国土交通省資料より

 

一方で暴力行為とまでいかなくても、モンスタークレーマーは増加傾向にあり、鉄道業者は対応に苦慮している感があります。思いかけず多くの人に迷惑をかけているかも……いまいちど、自身の普段の行為を振り返ってみるのもいいかもしれません。