資産価値が高く、富裕層の税金対策としても人気のタワーマンション。エリアによっては低層階でも億に達する物件もあることから、一般層にとっては高根の花です。もっとも、中古であれば新築よりも1~2割ほど安く、手が届く場合も。しかし「中古のタワマン」ならではのリスクを知っておかないと、早々に生活破綻という事態に直面するかもしれません。みていきましょう。
憧れのタワマンを買った普通の会社員…見通しあまく「もう、ムリ」

タワマンの購入者…税金対策の封じ込めにより、一般の会社員層へ拡大も

資産価値が高いタワマンは、富裕層による「税金対策」としてのニーズがありました。しかし、2022年4月、相続したマンションの評価額が実勢価格よりも低すぎるとして、再評価のうえ追徴課税とした国税庁の判断を争う裁判について、最高裁は妥当として、相続人側の上告を棄却しました。それ以前からもタワマンを活用した税金対策については懸念の声もあがっていたことから、富裕層は前ほどタワマンに興味を持たなくなったといわれています。

 

一方、タワマンは全国で増え続けています。不動産研究所『超高層マンション2021』によると、2021年以降の完成が計画されているタワマンは全国で173棟。東京23区が118棟、大阪市が31棟と、はやり大都市圏が多数を占めていますが、たとえば長崎県や福島県で2棟、青森県や山形県、富山県、香川県、大分県で1棟と、人口が最大の都市で50万人にみたない地方でも続々とタワマンが計画されています。

 

増え続けるタワマン。すべて億ション、という一部のタワマンを除き、現在の主な購入者層は富裕層から一般の会社員に変わってきているといわれています。

 

未曽有の低金利、長期の住宅ローンを組めば、会社員でも5,000万程度の物件であれば購入できます。さらにペアローンを利用すれば、共に高収入の共働き夫婦であれば、1億円程度のタワマンでも検討範囲内というわけです。

 

とはいえ、夫婦共に高収入の、いわゆる「パワーカップル」と呼ばれる人たちは、ほんのひと握りでしょう。一般の会社員だと新築のタワマンは無理か……という場合に、選択肢になるのが中古のタワーマンションかもしれません。

 

資産価値が下がりにくいといわれているタワーマンションなので、確かに、中古とはいえ相場よりは高め。ただ新築よりは幾分安くなっています。大手ポータルサイトでその価格をチェックすると、タワマンが林立する東京都・江東区豊洲、駅5分以内、築15年ほどのタワマン、2LDK・70㎡で7,500万円ほど。新築ならさらに高かったであろうタワマンでも、中古であれば、一般層でも何とか手の届く範囲となります。