「家族信託」(民事信託)とは、自分が将来病気や要介護になる可能性を考慮し、保有する不動産や預貯金などの管理・処分を信頼のおける家族に任せるという、財産管理の方法です。遺言書以上に多様な承継の仕方が定められるなど、相続における多様なニーズの受け皿としての側面もあり、今後ますます需要を高めていくことが予想されます。近い将来、誰しもが身近になるかもしれない「家族信託」を、民事信託に特化した法律事務所の所長である金森健一弁護士が、具体的な事例をもとに解説します。

あらかじめ、次の「受託者」を契約書で指定しておく

「受託者」が早くに亡くなる。もしくは、病気や怪我等で「信託」の事務を続けられなくなるケースもあります。

 

その場合に備えて、あらかじめ次の「受託者」を契約書で指定しておくべきです。受託者は、引き継ぎが速やかにできるよう、自分の家族にも「受託者」を引き受けていることを伝えておきましょう。

信託契約書には「別段の定め」という特約がある場合も

イタ子さんのケースは、信託契約書に特約が無かったため、「信託法」という法律の定めに従った対応で十分でした。

 

しかし、信託法は、「別段の定め」といって、法律とは異なる内容の特約をすることを認めています。その特約は、信託契約書に記されています。何かあったときは、まず信託契約書の内容を確認するようにしましょう。

 

もっとも、信託契約書の内容を理解するには、知識がないと難しい場合がしばしばあります。読み違えて、後からトラブルになる恐れもあります。迷ったときは、信託について詳しい弁護士のアドバイスを受けるようにするのがよいでしょう。

 

 

金森健一

弁護士

金森民事信託法律事務所所長

駿河台大学法学部特任准教授

 

民事信託の別段の定め 実務の理論と条項例

民事信託の別段の定め 実務の理論と条項例

金森 健一

日本加除出版

信託法における「別段の定め」と、「定め」ることができる内容のすべてがこの一冊に。「ファミリービジネスの維持」「不動産賃貸の事業承継」「未成年の受益者」「障がい者の『親なき後問題』」「金融機関との関係」…民事信託…

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