ファンダメンタル分析は意味があるのか疑問を感じるかもしれませんね。また、勉強の始め方もなかなか解説されていません。この記事では、ファンダメンタル分析の基本だけでなく、ファンダメンタル分析が重要な背景と、分析のやり方について解説していきます。
【FXファンダメンタル分析】金融から為替が見える3ステップの実践法

『資産形成ゴールドオンライン』は複数の企業と提携して情報を提供しており、当サイトを経由して申込みがあった場合、各企業から報酬が発生することがあります。しかし、提携の有無などが本ページ内のサービスの評価や掲載順位に関して影響を及ぼすことはありません(提携会社一覧)。

『FXのファンダメンタル分析って何?』

『ファンダメンタル分析って本当に意味あるの?』

『ファンダメンタル分析ってどうすればいいの?』

 

世の中にはテクニカルだけで勝っている投資家もおり、ファンダメンタル分析の必要性には疑問を感じるかもしれませんね。

 

いざファンダメンタル分析を学ぼうと思っても、小難しい経済展望はとっつきにくいし、勉強の始め方もわからないですよね。

 

ファンダメンタル分析をする上で注目する要人の発言や指標発表については語られていても、重要性や考え方の基礎を解説してくれる記事はあまりみかけません。

筆者も勉強し始めてから半年ほどは何を軸に考えていいのかわかりませんでした。

 

そこで今回は、ファンダメンタル分析の基本だけでなく、ファンダメンタル分析が重要な背景と、分析のやり方について解説していきます。

 

事例を交えながら、初心者にわかりやすく解説していきますので、ファンダメンタル分析の考え方がわかってもらえるはずです。

 

この記事を読むと、あなたが今後どうやって情報を収集して、ファンダメンタル要因をトレードに取り入れるかがわかります。

 

この記事でわかること
・ファンダメンタル分析の基本
・ファンダメンタルを読み解く3つのポイント
・ファンダメンタルズ分析のやり方をわかりやすく解説
・経済指標の読みとり方を実例つきで紹介
・初心者がファンダメンタル分析を勉強するには
・ファンダメンタルを読み解くには相関市場にも注目しよう

 

 

目次
ファンダメンタル分析の基本
  ・ファンダメンタル分析とは
  ・テクニカル分析とどう違うの?
ファンダメンタル分析に意味はあるのか
ファンダメンタルを読み解く3つのポイント
  ・資金供給量(マネタリーベース)
  ・政策金利
  ・経済の強弱
ファンダメンタル分析のやり方を3ステップでわかりやすく解説
  ・ファンダメンタル分析の始まりは相場の課題を知る
  ・課題の要因・背景を理解する
  ・要因と関連の深いニュースや指標発表から判断する
経済指標の読みとり方を実例つきで紹介
  ・FOMC(連邦公開市場委員会)
  ・日銀金融政策決定会合
  ・ 消費者物価指数(CPI)
  ・米国雇用統計
  ・GDP(国民総生産)
初心者がファンダメンタル分析を勉強するには
  ・FX会社が発信する情報や解説動画を参考にする
  ・トレーダーやエコノミストのYouTubeで学ぶ
ファンダメンタルを読み解くには相関市場にも注目しよう
  ・日米10年国債の金利差には相関がある
  ・他の金融市場からも情報が読み取れる
ファンダメンタル分析におすすめなFX会社2社
  ・100万口座達成「GMOクリック証券」
  ・100円からできるFX「松井証券」
まとめ

 

ファンダメンタル分析の基本

ファンダメンタル分析とは

 

まずはファンダメンタル分析が一体なんなのか、初心者の方向けに整理していきます。

 

ファンダメンタル分析とは

ファンダメンタルとは国の経済活動状況を表す指標・データを指す言葉です。

 

つまり、ファンダメンタル分析とは、国の経済活動状況をみるために、金融政策や経済指標、政治の動向を分析し、為替の値動きの予測をすることです。

 

特に、為替は2国間の相対的な「通貨の需要と供給のバランス」や「経済の力関係」によって決まるため、1国だけでなく取引する為替ペアの双方を分析する必要があります。

 

いきなり難しそうな言葉がでてくると混乱してしまうわね。
簡単に「お金が循環している量」と「経済の強弱」の差を元に分析すると考えてみて。

 

テクニカル分析とどう違うの?

2国間の「お金が循環している量」と「経済の強弱」を見てチャートの値動きを予測するのがファンダメンタル分析ですね。

 

その一方で、テクニカル分析は、チャートに反映される値動きの強弱と投資家の行動パターンに注目したものです。

 

行動パターンを分析するために、ローソク足やチャートパターン、テクニカル指標を活用していきます。

 

チャートの外にある要因を元に分析するのがファンダメンタル分析で、チャート上の値動きを分析するのがテクニカル分析です。

 

ファンダメンタル分析に意味はあるのか

ファンダメンタル分析はいみあるの?

 

世の中にテクニカル分析だけで勝っている投資家がいると聞くと、本当にファンダメンタル分析に意味があるのか疑問に思いますよね。

 

結論から言うと、FXトレードをする上で、ファンダメンタル分析をすることには、大きな意味があります。

 

なぜなら、テクニカル分析では短期の予想は建てられても、長期間のトレンドは予測できません。

 

為替の大きなトレンドは2国間の「お金が循環している量」と「経済の強弱」で決まってくるためです。

 

スキャルピングなどの超短期トレードではファンダメンタル要因の影響は少なくなります。

 

しかし、スイングトレードなどポジションの保有期間が長いトレードになると、ファンダメンタル分析を無視できないというわけです。

 

ファンダメンタルを読み解く3つのポイント

ファンダメンタル分析の考え方

 

為替の大きなトレンドを読むには「お金が循環している量」と「経済の強弱」が大事だと言いましたが、具体的には何を見ていけばいいのでしょう。

 

ここでは、ファンダメンタルを読み解く3つのポイントについて解説していきます。

 

・資金供給量(マネタリーベース)
・政策金利
・経済の強弱

 

 

「お金が循環している量」をみていくには、中央銀行の金融政策を知るのが大事です。

特に、「量的緩和・引き締め」と呼ばれる世の中に流すお金の量を直接的に調整する政策と「政策金利の上げ下げ」による間接的な循環量の調整の2つが肝になります。

 

金融政策は耳慣れない方には難しいかもしれませんが、なるべく簡単に説明していきますね。

 

資金供給量(マネタリーベース)

為替の大きなトレンドを読み解くための一つが、量的緩和・量的引き締めと呼ばれる資金の供給量の調整です。

 

長い目で見ると、為替は2国間の資金供給量(マネタリーベース)のバランスと相関しているからです。

 

中央銀行が世の中に供給するお金の量はマネタリーベースと呼ばれているぞ。

量的緩和は世の中への資金供給を増やす、量的引き締めは資金供給を減らす政策だ。

 

つまり、量的緩和や量的引き締めは2国間の資金供給バランスを変える政策だから、為替にも影響してくるのです。

 

では、日米のマネタリーベース比と為替の推移をまとめたチャートをみてみましょう。

 

1年単位では傾向が異なることはあっても、10年単位の推移を追ってみると相関しているのが見てとれます。

 

一方の国の供給量が他方に比べて多くなると、その国の通貨は安くなりやすいんですね。

 

例えば、日本は量的緩和で資金供給が増えるけれども、米国は供給が増えない場合、円安になるという具合です。

 

通貨供給量(マネタリーベース)比と為替について

マネタリーベースとは、「国の中央銀行が世の中に直接供給するお金」のことです。

例えば、日米間のマネタリーベース比は、「日本円➗米ドル=マネタリーベース比」という計算で表せます。

2022年4月時点では、日本円の供給量は約687兆円、そして米ドルの供給は約5兆9000億ドルです。
約687兆円を約5兆9000億ドルで割ると、1ドルあたり約116円となります。

日本は金融緩和を続ける方針を示していますが、米国は金融引き締めに切り替えました。
将来的なマネタリーベース比から、116円より円高に振れることは見てとれます。

日銀マネタリーベース:マネタリーベース : 日本銀行 Bank of Japan
FRBマネタリーベース:Money Stock Measures - H.6 Release

 

マネタリーベース(資金供給量)比と為替レートの変化の関連性に着目したチャートはソロスチャートとも呼ばれているよ。

90年代の著名投資家、ジョージ・ソロスが考案したと言われているからね。

 

政策金利

そして、もう一つの大事な金融政策が、政策金利の調整です。

 

お金は金利が高い方に流れる習性があるため、為替に大きな影響を与えるからです。

 

例えば、米国の政策金利が上昇すれば、それと連動して国債の利回りも上昇します。

 

スワップポイントを例にとると考えやすいぞ。

政策金利が高い方の通貨を買えばスワップポイントがもらえるように、政策金利が高い方の国債利回りも高くなるんだ。

 

投資家はより有利な金利を求めるため、日本円の資産の比率を減らして、米国債などドル資産の比率を増やそうとするんですね。

 

そして、政策金利と密接な関係がある「10年国債の金利差」は為替とも強い相関がみてとれます。

 

 

チャートの傾向が非常に似通っていますね。

 

説明すると長くなるので、「日米10年国債の金利差には相関がある」の項目で解説していきます。

 

ひとまず、政策金利の上げ下げが為替に大きな影響があると覚えておきましょう。

 

政策金利について

量的緩和・引き締めが、中央銀行からのお金の供給量を調整するのに対して、政策金利は金融機関から世の中へのお金の供給を調整するための政策です。

例えば、金利が下がると、金融機関は、低い金利で資金を調達できるようになります。そのため企業や個人に対して、低い金利で貸出ができるようになり、世の中のお金の循環がよくなります。

逆に金利が上がると、お金の周りが抑制されるため、景気の加熱が抑えられます。

 

経済の強弱

景気後退リスクや、戦争や天災など突発的に国に影響をあたえる地政学リスクによっても、為替は大きな影響を受けます。

 

一時的に2国間の経済的リスク差が広がることで、リスクが高い方の国の通貨が売られ、もう一方が買われるからですね。

 

金融政策は、基本的に経済の動向を織り込んで決定されますが、突発的な地政学リスクは織り込みようがありません。また、中央銀行の意図とは反対に動く景気後退についても相場は大きな影響を受ける傾向があります。

 

コロナ危機やリーマンショックなど大きな問題が発生した後は、金融政策にも影響を与えることが多いよ。

その後の金融政策には特に注目していこう!

 

ファンダメンタル分析のやり方を3ステップでわかりやすく解説

ファンダメンタル分析のやり方

 

ここまでファンダメンタル分析を行う際の考え方について解説してきました。

 

では、実際にどうやって分析を始めていけば良いのでしょうか。

 

以下の3つのステップに分けて、やり方を順序立てて説明していきます。

 

1.ファンダメンタル分析の始まりは相場の課題を知る
2. 課題の要因・背景を理解する
3. 要因と関連の深いニュースや指標発表から判断する

 

ファンダメンタル分析の始まりは相場の課題を知る

ファンダメンタル分析の始まりは、現在の相場にある大きな課題を理解することです。

 

課題が理解できると、課題の発生している理由がわかり、注目すべき要因がわかってくるからです。

 

例えば、2022年6月現在、日本は金融緩和を継続しているものの、米国では金融引き締めが始まっています。

 

金融緩和は量的緩和や政策金利を下げること。逆に金融引き締めは量的引き締めや政策金利を上げることよ。

 

2国間の「お金が循環している量」に格差が広がるため、円安ドル高に大きく振れてきています。

 

今後、「米国での金融引き締め」がどの程度のペースで行われ、特に政策金利が何%まで上昇するのかが焦点ですね。

 

また、米国が景気後退局面に向かいつつあるという懸念も大きくなっており、「お金が循環している量」だけでなく、「経済的リスク」も課題になりつつあります。

 

特に大きな課題がない場合、ファンダメンタル要因が為替のトレンドに及ぼす影響は大きくありません。

その反面、重要な課題がある場合には、ファンダメンタル要因が為替のトレンドに及ぼす影響は大きくなります。

 

課題の要因・背景を理解する

 

続いて、メインの課題が明らかになったら、その背景をしっかり理解しましょう。

 

自身でニュースを読み解きながら理解することもできますが、まとまった解説をしてくれる記事や動画を参考にするのが分かりやすいでしょう。

 

課題やその背景を理解するには情報収集が欠かせないわよ。でも、ニュースは情報が断片的だし、金融記事は小難しすぎるわね。

わかりやすく教えてくれるYouTubeチャンネルがおすすめよ。

 

金融政策の背景は、日銀やFRBのウェブサイトでも公開されています。

 

例えば、米国の金融政策が決定されるFOMCでは毎回ステートメントが出されるので、そこからも課題が読み取れます。

 

英訳ならGoogle翻訳の精度も高いので、英語がわからない方でも十分に理解可能です。

 

2022年6月15日のFOMCステートメント概要

FRBは現在のインフレリスクに非常に注意を払っている
FRBは2パーセントのインフレ率の達成と雇用の最大化を目的としている
目的達成のために金利を引き上げ、量的引き締めを実行する
・インフレの主な原因は以下の二つ
 - パンデミック、特に中国でのCOVID関連の封鎖による供給の停滞
 - ロシアによるウクライナの侵略による食糧や資源価格の高騰
・全体的な経済活動は持ち直しており、雇用増加は堅調であり、失業率は低いままである

【引用元:Federal Reserve issues FOMC statement

 

つまり、インフレ抑制のために、政策金利をあげようとしている訳ですね。

 

要因と関連の深いニュースや指標発表から判断する

要因がわかると、今後見ていくべきニュースや指標発表がより明確になってきますね。

 

例えば、先ほどの「2022年6月15日のFOMCステートメント」からは、以下が注目のポイントだとわかります。

 

・今後の米国インフレ率の推移
→ インフレに影響を与えるパンデミックの状況
→ ロシアのウクライナ侵攻の状況と食糧や資源価格の高騰

・米国経済の動向や雇用と失業率

 

これらに着目しながら、世界のニュースや指標発表を読み解き、値動きを予測していくのが、ファンダメンタル分析です。

 

課題やその背景を知るための勉強については、「初心者がファンダメンタル分析を勉強するには」の項目で解説しているので、気になる方は読んでみてください。

 

経済指標の読みとり方を実例つきで紹介

重要な経済イベントと指標発表

 

ここでは、実際にどうやって経済指標を読み解いていくのか、実例を交えながら、5つの注目指標について紹介していきます。

 

・FOMC(連邦公開市場委員会)
・日銀金融政策決定会合
・消費者物価指数(CPI)
・米国雇用統計
・GDP(国民総生産)

 

FOMC(連邦公開市場委員会)

一つ目は、先ほどから紹介しているFOMC(連邦公開市場委員会)です。

 

米国の中央銀行制度であるFRBが金融政策を決定するため年に8回開催し、景況判断から政策金利や通貨供給についての方針が発表されます。

 

米国の「お金の循環量」を決定する会合であり、金融緩和や引き締めが市場のテーマであるときは非常に大きな影響力のあるイベントです。

 

特に現在は、FRBが過去にない異例のペースで政策金利を上げ始めたことが、大きなテーマになっています。

 

【2022年の政策金利の変更履歴】

  3月16日 5月4日 6月15日 7月27日
政策金利の変動 +0.25% +0.5% +0.75% +0.75%(見込み)

 

実際に、どの程度為替に影響があったのかをみてみましょう。

 

利上げによる為替の変動

 

2022年3月から約100日間で円安ドル高の方向に約20円も動いています。

 

金融政策が如何に大きな影響をもたらしているかが分かりますね。

 

FOMCだけではなく、パウエル議長や連邦準備理事会の理事の発言も値動きに影響する。

FOMCで金利を上げるか下げるかだけでなく、発言から中・長期的な方針を読み解くことが大事だぞ。

 

市場予測よりも、金利が高いとドルが買われる傾向、金利が低いと売られる傾向にあります。

 

しかし、実際に予測よりも上がった下がったという結果だけでなく、中長期的な金融引き締め方針が大きなトレンドを左右しますので、FOMC後のパウエル議長の発言内容も重要です。

 

政策金利が注目されがちですが、量的緩和・引き締めの動向にも注意しましょう。

 

日銀金融政策決定会合

FOMCが米国の金融政策を決定するのに対して、こちらは日本銀行が金融政策を決定する会合です。

 

2013年4月より金融緩和を実施しており、政策の大きな転換が見られないことから、FOMCと比較して軽視されがちです。

 

しかし、為替に大きな影響を与えるのは、2国間の金融政策の差であるため、こちらも大事な経済イベントに変わりません。

 

例えば、2022年4月28日の金融政策決定会合で、金融緩和政策の継続と指し値オペ(市中から国債を買い入れる量的緩和)を毎日行うという強い方針を表明しました。

 

指値オペ方針強化の影響

 

各国がインフレ対策として金融引き締めに移行するなかで、日銀が示した方針は金融緩和の強化でした。

 

結果として大きく円が売られ、たった1日で2円40銭ドル高に振れました。

 

政策金利や量的緩和の具体的な数値に変更がなくとも、強化方針を明確にするだけで市場が大きく反応した例だと言えるでしょう。

 

相場はファンダメンタル要因を元に1〜2年先を予測して動くぞ。

そのため、日銀やFRBが金利を上げたか下げたか以上に、中長期的な方針に左右されるから要注意だ。

 

また、FRBのパウエル議長の発言同様、日銀の黒田総裁の発言が為替を左右することもあるため、こちらも要注目です。

 

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数はモノやサービスなど物価の推移を表す統計指標で、インフレ率を推し量る指標として使われています。

 

世界各国から発表されており、すべての対象商品によって算出されるCPIの他、値動きが激しい食糧やエネルギーを除いたコアCPIに分かれています。

 

特に、市場のテーマがインフレに絡んだものである場合、非常に重要な指標です。

 

2022年6月15日のFOMCステートメントでは、インフレを抑制するために金融引き締めを行うってことが書かれていたね。

 

例えば、2022年に入ってからの米国インフレ率の高さは40年ぶりだと言われています。

 

【2022年 米国 消費者物価指数 (前年比)】

CPI前年比 1月 2月 3月 4月 5月
米国CPI 7.5% 7.9% 8.5% 8.3% 8.6%
米国コアCPI 6.0% 6.4% 6.5% 6.2% 6.0%

 

このインフレを抑制するために、FRBが金利を上げ始めた経緯があるため、CPIの結果によっては相場に大きな動きが見られます。

 

インフレ率がさらに上昇するような場合には、FRBの金利上げペースが加速する懸念が強まるため、一層ドル高に振れる可能性も高まります。

 

米国雇用統計

雇用統計は就業者数や失業率など雇用情勢に関する統計です。

 

特に毎月第一金曜日に発表される米国雇用統計は、景気動向を占う上で注目を集めます。

 

こちらも米国CPI同様に、FRBによって非常に重要視されている指標です。

 

2022年6月15日のFOMCステートメントから抜粋

The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run.
委員会は、雇用の最大化と長期的な2パーセントのインフレ率の達成を目的にしています。

【引用元:Federal Reserve issues FOMC statement

 

FRBは、適切な物価上昇率(インフレ)を保つだけでなく、安定した経済の発展(雇用)を目的にしているんですね。

 

2022年の3月からFRBは政策金利を上げ始めましたが、これはお金の流通を抑制することになり経済的にはマイナス要因です。

 

FRBは、インフレ抑制だけでなく、雇用者数や失業率にも気を配る必要があるわけね。

 

雇用者数が増え、失業率が低い結果がでると、FRBは安心して利上げをすることができます。

 

そのためドル高に振れる可能性が高まります。

 

GDP(国民総生産)

一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額で、経済状況のバロメーターです。

 

付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値をさします。

 

名目GDPと実質GDPの2つがあり、名目GDPからインフレの影響を除いたものが実質GDPと呼ばれています。

 

実質GDPはその国の経済規模や景気動向をはかる指標になっているよ。

 

欧米では実質GDPのマイナス成長が2四半期続くと、リセッション(景気後退局面)との定義がされており、米国は2022年の第1四半期ですでにマイナス成長を記録しています。

 

「金融引き締め」と「景気後退懸念」の2つの要因で米国株式市場は暴落しており、1年ぶりの安値を更新しています。

 

FRBは米国経済が堅調と主張しているものの、市場は景気後退を懸念しているんですね。

 

GDPがもう一度マイナス成長を記録すると、一層、米国経済の後退懸念が強まることから、ドル安に振れる可能性が高まります。

 

経済イベントや経済指標は、市場が抱える課題によって重要性が異なるぞ。

指標発表の数値の上げ下げを見るだけでなく、その背景を理解するとその後の為替トレンドが見えやすくなる。

 

 

初心者がファンダメンタル分析を勉強するには

ファンダメンタル分析の勉強

 

ファンダメンタル分析の考え方を解説してきましたが、初心者にとってはやや難しい話が多かったかもしれません。

 

ここではどうやって情報収集し勉強していくのか、おすすめの方法を紹介していきます。

 

FX会社が発信する情報や解説動画を参考にする

各FX会社のWEBサイトでは、経済指標カレンダーが公開されているので「経済イベント」や「経済指標」が確認可能です。

 

とはいえ、実際に指標が発表されても、それをどうやって捉えていいのかが難しいですよね。

 

外為どっとコムのYouTubeチャンネル「外為どっとコム 公式FX動画ch」では、米国雇用統計の発表に合わせてライブ配信を行なっているので参考になります。

 

初心者のうちは、指標が発表されてもその数値をもとにどう判断していいのかわからないものです。

ライブ解説を聞きながら、実際の指標発表を迎えるのは非常に勉強になります。

 

その他、情報力のあるFX会社を3つピックアップしましたので、情報収集に役立ててみてください。

 

GMO外貨FINANCE STADIUMで動画や専門家のブログが読める

外為どっとコムマネ育チャンネルで為替レポートや動画が見れる

外為オンライン外為LABで週単位での相場予想やアナリストのレポート(※要登録)が読める

 

トレーダーやエコノミストのYouTubeで学ぶ

 

初心者がファンダメンタル分析を勉強するには、噛み砕いて体系的な知識を解説してくれるYouTubeがおすすめです。

 

本を読んでも体系的な知識にはなりますが、文字にすると難しい上に、過去の情報よりも現在の状況を解説してくれる動画の方が頭に入ってきます。

 

YouTube上では、著名なトレーダーやエコノミストも、金融市場の見通しや考え方を発信しており信頼もできますね。

 

私のおすすめのYouTubeチャンネルを紹介しますので、興味のあるかたは見てみてください。

 

Dan Takahashi - PostPrime:ニューヨークの投資銀行やヘッジファンドなど、10年以上に渡って金融の世界で働いた経験を元に金融リテラシーを身につけるための解説動画を投稿。

探究!エミンチャンネル:岡三証券が提供するYouTubeチャンネル。トルコ出身の経済エコノミスト、エミンユルマズ氏が対話形式でマクロ経済、国際情勢、株式・為替、商品市場を解説。

 

初めはわからないことが多いと思いますが、聞き続けると為替相場だけでなく、金融相場を取り巻く知識が身につけられます。

 

為替だけでなく他の市場の話が入ってくると範囲が広くて混乱するかもしれません。

しかし、金融市場は連動して動いているので、ファンダメンタル分析を学ぶにはうってつけです。

 

 

ファンダメンタルを読み解くには相関市場にも注目しよう

相関市場の分析

 

経済イベントや指標発表以外にも、他の金融市場からも実は情報が読み取れます。

 

それは金融市場が連動して動いているからですね。

 

ここでは、為替相場を分析するのに役立つ、特に関連の深い他の市場について紹介していきます。

 

日米10年国債の金利差には相関がある

まずは債券市場、特に10年国債の金利に注目しましょう。

 

というのは、10年国債の金利差と為替には相関が見られるからです。

 

日米10年国債の金利差(米国金利-日本金利)と為替の関係をみてみましょう。

 

 

チャートのパターンが非常に似通っていますね。

 

償還まで1年以内の国債利回りは政策金利と連動して動く傾向が見られます。

 

対して、10年国債の利回りは金融政策だけでなく、経済や景気動向を織り込んで推移します。

 

政策金利がその国の金利(利子)のベースになっているぞ。

短期国債の金利は期間が短いため政策金利と連動して動く。しかし、10年など長期国債は償還までの期間が長いから、長期的な経済展望を折り込むわけだ。

 

つまり、10年国債の金利は「国の金融と経済の状態」を表すバロメーターとしても機能するため、10年国債の金利差は2国間の状態の格差となり、為替とも相関が高いんですね。

 

為替を分析するためには、10年国債の利回りを見ておいて損はありません。

 

日米10年国債の利回りは松井証券債券・国債利回りのページから確認可能です。

 

金利のお話は少し複雑になってしまうので、ここでは簡単に留めました。

国債と金利の関係や、名目金利・実質金利など、金利について詳しく知りたい方は「マネーの世界 教えて高井さん【日経まねび】」で見てみてください。

 

他の金融市場からも情報が読み取れる

市場が抱えている課題によっては、他の相場も大事になってきます。

 

2022年6月時点では、市場が抱える2つの課題がありましたね。

 

・FRBの金融引き締めの原因になっているインフレ(資源価格の高騰)

・市場が懸念している景気後退リスク

 

例えば、インフレの大きな原因の一つはロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー資源価格の高騰ですが、原油の先物市場でもウクライナ侵攻以来、価格が暴騰しています。

 

原油価格が下降してくるかどうかが、今後のインフレ率を占う上で大事になります。

 

なるほど。そう考えると指標発表だけでなく、他の市場からも今後の相場の動向が伺えるんだね。

 

また、景気後退を見る上では、株式市場に注目していきましょう。

 

株価と景気動向は関連が高いからです。

 

日経平均株価やS&P 500(米国の代表的な株価指数)など主要な指数だけでも見れると良いでしょう。

 

市場のテーマと関連のある、商品先物や株価指数などは、GMOクリック証券のプラチナチャートで分析が可能です。

 

ファンダメンタル分析におすすめなFX会社2社

 

最後に、ファンダメンタル分析をする上で、おすすめのFX会社をまとめてみます。

 

普段使うチャートやサイトで為替市場だけでなく、関連している市場の情報が見られるのは便利なので、下記の2つのFX会社をおすすめします。

 

GMOクリック証券:FXだけでなく、各国の主要な株式指数や商品先物の相場が比較分析、さらには取引できる

松井証券:元々株式取引を中心とした会社だけあって、日本株を中心に株式指数の分析や購入が可能。日米の国債金利なども分析できる

 

金融市場の分析だけでなく、他にも魅力のある会社なので、それぞれ特徴を紹介していきましょう。

 

取引コストが安く、分析機能が使いやすい「GMOクリック証券」

GMOクリック証券
 
スプレッド
(ドル/円)
ユーロ/円 ポンド/円

0.2銭

0.4銭 0.9銭
取引単位 スワップ キャッシュバック
1000通貨 新規FX口座開設+お取引で
最大1,000,000円キャッシュバック

スプレッドは原則固定(※例外あり)。キャンペーンスプレッドを含む。詳細は公式HPをご確認ください。
南アフリカランド/円とメキシコペソ/円の取引単位は10,000通貨単位

 

・初心者も上級者も持ってて間違いなしの口座
・最安水準のスプレッド!デイトレに最適
・38種類のテクニカル指標があり、分析ツールが充実

 

スプレッドが安い上に、FXのプロがうなるほどの高機能分析ツールが有名!

 

初心者から上級者が使っているFX会社だ。

 

初心者からプロまで、GMOクリック証券が一番おすすめ!

 

 

100円からできるFX「松井証券」

松井証券
スプレッド
(ドル/円)
ユーロ/円 ポンド/円
0.2銭 0.5銭 1.1銭
取引単位 スワップ キャッシュバック
1通貨
マイナススワップが大きい
最大100万円

スプレッドは原則固定(※例外あり)
 

1通貨(ドル円なら5円)からFXの取引が可能
・最安水準のスプレッド!デイトレに最適
・初心者向けセミナー動画が充実

 

最小取引単位が1万通貨が多いFX業界で、1通貨(ドル/円なら5円)から取引が可能!

 

レバレッジ1倍なら100円、25倍なら5円という少額で取引ができるのが最大の特徴よ。

 

少額から取引ができるので大損するリスクが無く、初心者でも安心して取引ができるわ。

 

 

高スワップ&低スプレッドで万能! 高機能分析ツールの「外為どっとコム」

外為どっとコム
 
スプレッド
(ドル/円)
ユーロ/円 ポンド/円
0.2銭 0.4銭 0.9銭
取引単位 スワップ キャッシュバック
1000通貨
マイナススワップが大きい
最大100万2千円
対象期間:口座開設月から翌月末まで

スプレッドは原則固定(※例外あり)
*キャンペーンスプレッドを含む。詳細は公式HPをご確認ください。

 

最安水準のスプレッド!デイトレに最適
スワップポイントも業界最高水準で長期運用にも適したオールラウンダー
・売買の方向性とタイミングを教えてくれる「お天気シグナル」が無料で使える

 

スプレッドが安い上に、FXのプロがうなるほどの高機能分析ツールが有名!

 

初心者向けの動画セミナーや為替の見通し予想動画などがあり、トレードの実力がUPしやすい。

 

相場の未来を予測してくれる「みらい予測チャート」や自動でテクニカル分析をして売買のシグナルを表示してくれる「お天気シグナル」は必ず使うべきツールだ。

 

まとめ

 

ここまで、FX初心者の方向けにファンダメンタル分析の基礎知識や取り組み方を解説してきました。

 

最後にもう一度、大事なポイントを確認しましょう。

 

・FXにおけるファンダメンタル分析は2国間(通貨ペア)の「お金が循環している量」と「経済の強弱」を分析すること
現在の相場にある大きな課題を把握し、それと関連するニュース、イベント、指標発表に注目する
・金融市場は関連して動いているため、他の関係が深い相場にも注目する
・「GMOクリック証券」と「松井証券」なら債券、株式、商品先物市場も分析しやすい

 

ファンダメンタル分析の基本は、2国間(通貨ペア)の「お金が循環している量」と「経済の強弱」を知ることから始まります。

 

これまで経済や金融に触れてこなかった方には、難しいと感じられるかもしれません。

 

しかし、しっかり取り組み学び始めると、為替の値動きはこれまで以上に楽しく感じられます。

 

ファンダメンタル分析ができると、中長期のトレードだけではなく、デイトレなどの短期トレードをする上でも、手を出すべき相場かそうでないのかを判断する手助けになります。

 

最初はとっつきにくいと思うかもしれませんが、将来の勝率アップに繋がりますので、焦らずゆっくりと時間をかけて学んでいきましょう。

 

 

参考元