6月2日、警視庁は国税職員らを新型コロナウイルス対策の持続化給付金を騙し取ったとして逮捕しました。この報道をうけて、「またか……」という声とともに「いい給与もらっているのに」という怒りの声が聞こえてきます。実際、どれくらいの給与を手にしているのか、みていきましょう。
平均給与「月43万円」…詐欺罪で逮捕の国税職員に「ふざけるな」と怒りの声

国税の専門的知識を活かす「国税専門官」の給与事情

国税専門官の2022年の募集要項によると、初任給は大学卒・東京都特別区勤務の場合で25万0,560円。さらに扶養手当、通勤手当、住居手当など、各種手当が支給されます。また6月と12月には民間企業の賞与にあたる期末・勤勉手当が、年間俸給月額の4.30ヵ月分が支給されます。

 

さらに人事院『令和3年国家公務員給与等実態調査』で平均給与をみていくと、月額平均43万2,622円(平均年齢42.6歳)。また令和3年12月の12月期期末・勤勉手当の平均65万1,600円ということから、年収はおよそ650万〜700万円程度であると考えられます。

 

国家公務員である国税専門官は、まず「等級(≒役職)」に応じて給与があがっていきます。税務職の場合、1級で21万2,705円、9級で50万5,695円。1級から2級への昇格が121%増と、最も上昇幅が大きくなっています。

 

また等級以外に「号」という単位もあり、これは単純に経験年数ごとに決められています。国税専門官をはじめ、国家公務員の給与は、最終的に「等級」と「号」によって決定されます。

 

国家公務員というと、どうしても民間との給与差が気になるところ。そこで大卒・正社員との給与で比べてみましょう。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒正社員の平均給与は月額39万6,400円(平均年齢40.0歳)で、年収は推定599万6,200円。国税専門官の給与は、一般の大卒正社員よりは高めのようです。

 

また国税専門官は専門職のため、国家公務員のなかでも給与は高め。そこで民間で税まわりの専門家である公認会計士や税理士と比較してみましょう。前出の厚生労働省の調査によると、公認会計士、税理士の月収は平均44万8,600万円で、年収は推定658万5,800円。専門性を活かす国税専門官は、公認会計士や税理士とほぼ同じ程度の給与のようです。

 

話は戻り、今回の逮捕劇。専門知識を活かしての犯行ということで、仮に国税専門官という立場だとすると、他の国家公務員よりも給与は高めで、民間企業と比較しても公認会計士や税理士と同程度。一般の人たちから羨望の眼差しが送られる給与水準でした。

 

せっかく身につけた専門的な知識。国や私たちの生活をより良くするために発揮してもらいたいものです。