厚生年金受給額、平均月14万円…今後、増える可能性は限りなく低い
厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給者の平均受取額は月額5万6,358円、厚生年金保険(第1号)受給者の平均受取額は月額14万6,145円。
さらに受取額の分布をみていくと、厚生年金では月10万円未満が23.3%。10万〜15万円未満が30.2%。元・会社員といっても4〜5人に1人は、月10万円にも満たない年金を、老後の足しにして生活をしています。
【厚生年金受取額の分布】
5万円未満:431,494人/2.67%
5万~10万円未満:3,325,869人/20.66%
10万~15万円未満:4,874,049人/30.27%
15万~20万円未満:4,875,227人/30.28%
20万円以上:2,593,494人/16.11%
出所:厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』より算出
この年金受取額で暮らしていくのに十分か、それとも不十分か、その人のライフスタイルなどによるので、一概に言うことはできませんが、今後「年金受取額が増える」という可能性は絶望的、といってもいいでしょう。
厚生労働省が公表している標準的な年金受給世帯の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金)はこの15年強で5.3%、金額にして月1万2,575円、年間15万円ほどの減少となっています。
【モデル夫婦の年金受取額の推移】
- 2004年~2005年度:233,299円
- 2006年~2010年度:232,591円
- 2011年度:231,648円
- 2012年~2013年4月~9月:230,940円
- 2013年10月~2014年3月:228,591円
- 2014年度:226,925円
- 2015年度:221,507円
- 2016年度:221,504円
- 2017年~2018年度:221,277円
- 2019年度:221,504円
- 2020年度:220,724円
出所:厚生労働省発表による
一方で、同じく厚生労働省による財政検証による年金額のシミュレーションによると、実質経済成長率0.9%とした場合(ケースⅠ)、2040年、現役男子の手取り収入は46.1万円で、夫婦の年金額は25.0万円。実質経済成長率0.6%とした場合(ケースⅢ)、2040年、現役男子の手取り収入は43.7万円で、夫婦の年金額は32.7万円。実質経済成長率0.4%とした場合(ケースV)、2040年、現役男子の手取り収入は40.5万円で夫婦の年金額は20.8万円と試算しています。
報告書では、ケースVはシミュレーションのなかでも、日本経済が相当低成長だったら……という前提のもと記されています。ただ低成長で浮上のきっかけがまるで見えてこない現状を顧みる限り、ケースV、さらにはそれをも下回る、と考えたほうが現実的だといえそうです。