会社員であれば、給与の額面と手取り額に、大きなため息をついた経験はあるでしょう。そんな経験を初めてしたであろう、今年、社会人となったばかりの新入社員。さらに長い現役時代の先に待つ将来の話をしたら、きっと打ちひしがれるはず。あまりに残酷な日本の未来をみていきましょう。
 手取り17万円…大卒新入社員が絶望するしかない「将来の年金額」

新卒者が現役を引退するとき…1.3人の現役世代で1人の高齢者を支える社会になっている

特に高いと感じるのが社会保険。主に健康保険、厚生年金、雇用保険の3つが引かれます。基本的に年収に応じて計算するので、負担額は年収に応じて増えていきます。

 

厚生年金は年金の上乗せ部分。厚生年金を払っていれば、国民年金に上乗せされます。よく年金は積立方式と勘違いしているケースがありますが、日本の年金制度は賦課方式。年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式で、現役世代から年金受給世代へ仕送りするイメージに近いでしょう。

 

現在の高齢化率は28.8%。現役世代2人で高齢者1人を支えている計算です。新入社員が社会人であり続ける40年間、負担率は徐々に低下し、2065年には現役世代1.3人で1人の高齢者を支えると推測されています。つまり現役の間、じわりじわりと負担が大きくなっていくということです。

 

国民年金の保険料は、この15年あまりで1.25倍になりました。厚生年金保険料は13%台から18%台に引き上げられました。急激な高齢化に対応するための処置で、徐々に値上げされ、平成29年で固定化。いまのところ、さらに引き上げとはアナウンスされていません。

 

しかし新卒者が高齢者になるまで40年あまり。その間、1回も保険料の引き上げがない、というのは、奇跡でも起きない限り、ないかもしれません。

 

では実際にどれほどの年金を手にすることができるのか、厚生労働省が公表している標準的な年金受給世帯の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金)は、2004年に23万3,299円でしたが、2019年では22万0,496円。途中に計算方式の変更などあり、一概にいえませんが、単純に15年ほどで1万2,000円ほどの減額。このままのペースで減っていくと、現役世代の人たちが年金をもらうようになる40年後には、夫婦で20万円を下回る計算です。

 

実際の年金受取額はそんな単純な計算ではないので、このような悲惨なことは起きない可能性が高いです。しかし世界でもっとも高齢化が進む日本。今後、どのような状況に陥るかは誰にも分かりません。

 

新卒者の将来はあまりに不透明。そんな事態に対応するために、「手取り少ないなあ」と嘆いている今から、将来を見据えて資産形成を始める必要があります。