一般的な家族が「賃貸でタワマン住まい」は現実的か?
高さ60m以上で20階以上の高層マンション。いわゆるタワーンション、通称タワマンは、2020年時点、首都圏には917棟あり、2021年以降、新たに173棟もできる予定だとか(不動産経済研究所調べ)。
一方で、2021年度、首都圏の新築分譲マンション1戸当たりの平均価格は6,360万円で、バブル期の1990年の6,214万円を上回る過去最高値を記録。さらにタワマンが集中する東京23区に限れば、平均価格は8,449万円と、天井知らずとなっています。東京、しかも23区内で新築分譲マンションを購入することは、かなりハードルの高いことになっているのです。
――それでも、いつか都心のタワマンに住んでみたい!
そんな夢を抱いている人もいるでしょう。そこで「分譲」ではなく「賃貸」という選択であればどうなのでしょうか。
そもそも首都圏で賃貸住宅を選ぶ人の平均像は以下の通り。東京23区に限る数値はないので単純な比較はできませんが、都心の賃貸住まいのイメージから考えると、平均家賃は低めです。
【首都圏「賃貸住宅」住まいの平均像】
- 世帯平均年収:497万円
- 世帯主平均年齢:38.5歳
- 平均居住人数:2.0人
- 勤務先からの住宅手当:平均3万5,781円
- 平均家賃:8万3,431円
- 平均通勤時間:36.2分
出所:国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』より
では実際に東京都心のタワマンの家賃はどれくらいなのでしょうか。大手ポータルサイトでみていくと、たとえば豊洲を始め、臨海部に多くのタワマンが集中する、東京都江東区。都心へのアクセスは地下鉄で10分程度という好立地が人気ですが、1Kであれば10万円ほど、1LDKであれば17万円ほど、2LDKであれば25万円ほど、3LDKで28万円程度。なかなかの家賃相場です。
この平均家賃を月々の住宅ローン返済に置き換えて考えてみましょう。金利0.6%、返済年数30年のローン返済と仮定すると、8,000万~9,000万円程度の借入をして2LDKから3LDKのマンションを購入するのと同じ水準ということになります。物件価格の1割程度の頭金を払うとすると、億ションという選択肢に。またローン負担率を適正値の20%とすると、世帯年収1,500万〜1,680万円程度ということになります。
「家族で都心でタワマン住まい」という選択は、賃貸であっても、かなりの高収入夫婦でないと叶えられそうもないようです。