氷河期世代…いまだ50万人が不本意ながら非正社員
2019年4月に開催された第5回経済財政諮問会議。日本の内閣府に設置されている「重要政策に関する会議」の一つでのこと。そこで初めて問題がクローズアップされたのが、氷河期世代にまつわるものでした。
氷河期世代とは、厚生労働省が2019年8月に発表した『就職氷河期支援施策の取り組みについて』において「おおむね1993年〜2004年に学校卒業期を迎えた世代」と定義しています。高卒であれば、1975年から1986年に生まれ、2022年時点で36〜47歳になる人たち。大卒(ストレートで大学に入り、4年で卒業した場合)であれば、1971年から1982年に生まれ、2022年時点で40〜51歳になる人たち。つまりいまの40代はまるまる氷河期世代だといえます。
この世代は、学校卒業時に有効求人倍率は1を上回ることはなく、希望の職につくことが非常に困難だった時代です。文部科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』によると、1996~2006年には、大学卒業者のうち、1万人以上が「一時的な仕事」、つまりパートやアルバイトに就くしかない状況でした。
【「大学卒業者数」と「一時的な仕事に就いた者」の推移】
1996年 512,814人/10,514人
1997年 524,512人/10,738人
1998年 529,606人/11,957人
1999年 532,436人/16,023人
2000年 538,683人/22,633人
2001年 545,512人/21,514人
2002年 547,711人/23,205人
2003年 544,894人/25,255人
2004年 548,897人/12,412人
2005年 551,016人/12,061人
2006年 558,18人/12,039人
出所:文部科科学省『文部科学統計要覧・文部統計要覧』より作成
不本意ながらも正社員として採用され、社会人となった人たちはまだよかったのですが、そうではなかった人たちの多くは悲惨なキャリアを歩むことになりました。
雇用環境が改善したきた2005年以降、そこで正社員になれた人はよかったですが、その時点ですでに30代に達していた人たちは特に正社員へのハードルは高く、断念せざるを得ないという状況に。政府は氷河期世代に対して、正社員への道を支援していますが、企業側が正社員としてのキャリアのない人たちを採用するメリットがあるのか……疑問です。「生涯、非正社員」は氷河期世代・非正社員の人たちにとって、かなり現実的な未来なのです。
財務省の調査によると、就職氷河期とされる人は、およそ1,600万人。そのうち現在も約50万人が「望まずして非正社員」といわれています。