金利上昇の兆し…住宅ローン利用者は冷や汗
最近、「住宅ローン破綻急増」というニュースをよく耳にするようになりました。
実際のところどうなのか、住宅金融支援機構の報告書で、住宅ローン返済の相談件数についてみていくと、2020年4月、国内で初めての緊急事態宣言が発令された際、前月から7倍以上の669件に達し、5月489件、6月255件と高水準で推移しました。その後は足元の相談件数は減少傾向にあります。
ただコロナ禍の影響で返済困難になった人たちへの対応として、1万4,000件を超える返済方法の変更を行ったそうです。
同機構によると、コロナ禍以前の住宅ローン破綻率は毎年4%程度。全体としては2%程度といわれています。民間の融資のほうが審査が厳しいため、住宅支援機構の数字は高くなると考えられます。
コロナ禍による収入減、それによる家計不安からローン破綻は増えたものの、コロナ禍3年目、状況は落ち着いた感があります。そのような状況で「住宅ローン破綻急増」と言われるようになったのは、昨今の住宅ローンの金利上昇にあります。
先日、大手銀行5行は、代表的な固定期間10年の最優遇金利を引き上げました。引き上げ幅は三菱UFJ銀など3行が0.15%、みずほ銀行が0.10%、三井住友信託銀行が0.05%。
何千万円と借入を行う住宅ローンでは、金利のわずかな変動で、支払総額が大きく変わります。実際に低い金利を求めて借り換えを検討する人も増えているとか。
今後、金利がどのように動いていくか、専門家によっても意見はさまざまで、金融緩和解除は難しいという見方が強いようです。つまりこの超低金利はしばらく続く、というのが大方の見方。ただ黒田日銀総裁の任期が1年をきったいま、その後は金利引き上げに動く、という可能性もゼロではなく、その動向を固唾をのんで見守っている人は大勢います。