夫が急逝…そのとき、妻がもらえる年金額は
ただ、人生思いがけないことが起きるものです。もし前出の夫が亡くなったら、妻はどうなるのでしょうか。
被保険者が亡くなった場合、遺族は遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)を受け取ることができます。
遺族基礎年金は、亡くなった人に生活を支えられていた子どものいる配偶者、または子どもが受け取ることができます。子どもは未婚かつ高校卒業まで、または20歳未満で一定の障害者であることが条件です。
受け取れる年金額は、子のある配偶者のときは「78万0,900円+子どもの加算額」、子どもが受け取るときは、「78万0,900円+2人目以降の子どもの加算額」です。
遺族厚生年金は、第2号被保険者が亡くなった場合、亡くなった人に生活を支えられていた子どものいる妻/子どものいる55歳以上の夫、またはその子どもが対象になるほか、子どものいない妻/子どものいない55歳以上の夫、55歳以上の父母なども受給対象となります。
前出の厚生労働省の調査によると、2020年、遺族基礎年金の給付数は9万人で、平均年金額は8万4,173円。遺族厚生年金の給付数は567万人で、平均年金額は8万2,947円でした。
ここで、先ほどの家族に「万が一のことが起きた場合」のことを考えてみましょう。
夫:享年55歳(厚生年金加入期間380ヵ月)、大卒、平均的な月収(平均標準報酬額)
妻:55歳、専業主婦(パート勤め)
長男:20歳
妻が65歳までは「遺族厚生年金:約36万円」+「中高齢寡婦加算:約58万円」が給付され、1年で94万円、1ヵ月に7万8,000円ほどが給付されます。
65歳以上では「老齢基礎年金:約78万円」+「遺族厚生年金:約36万円」、1年で114万円、1ヵ月に9万5,000円ほどが給付されます。
つまり、妻自身、年金受給が始まるまでの10年間、7万8,000円+パート勤めの給与で生活していく必要があるというわけです。
また、65歳以降に月9万5,000円で暮らしていくというのも、厳しいものがあります。
夫の急逝という辛い状況であっても、老後を見据えた資産形成は重要だといえるでしょう。