走ると急激に膝が痛む「ランナー膝」の原因
走っているときなど、膝の外側が急激に痛くなる、いわゆる「ランナー膝」……特に、長距離を走ったあとなどに起こりやすいスポーツ障害で、プロのマラソン選手だけでなく、一般の人たちのあいだでも決して珍しい症状ではありません。一体、なぜ起こるのでしょうか。
正式名称は「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」
ランナー膝とは通称で、正式には「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」といいます。「腸脛靭帯」とは、太ももの外側に走っている靭帯のこと。[図表1]のように、腸脛靭帯は腸骨(=骨盤の骨)から始まって、脛骨(=すねの骨)に付着している、大きな組織です。
人間が走っているとき、膝は伸展と屈曲を繰り返します。そのたびに腸脛靭帯と、大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか=膝の外側上方にある骨のでっぱり)が擦れ、摩擦が生じます。そのため、接触面が炎症を起こし、膝の外側にズキズキとした痛みを生じさせてしまうのです。これが、「ランナー膝」が起こるメカニズムです。
「ランナー膝」は、ランニング初心者や長距離ランナーに多い
ランナー膝が起きやすいのは、次のような人たちです。
・ランニング初心者
・脚の筋力が弱い人
・過度な練習をしている人
・O脚などで膝の外側に負担がかかりやすい人
「ランナー膝」の初期は、運動中や運動後に痛みを感じます。特に膝を踏み込んだとき、膝の外側にいやな痛みを感じることが多いでしょう。初期では走っているあいだだけ痛みが現れ、安静にしていると痛みが消えますが、症状が悪化すると、歩行時や安静時にも膝の外側に痛みを感じるようになります。
「ランナー膝かもしれない」と思ったら、次の項目をチェックしてみましょう。ひとつでも当てはまったら、ランナー膝の疑いがあります。
・主に下り坂を走るときに、痛みが強くなる
・久しぶりにマラソンを始めたら、膝の痛みが出るようになった
・ある程度の距離を走ると、痛みが出る
・特に、脚を伸ばすときに膝の外側に痛みを感じる