東京臨海部に建ち並ぶタワーマンション、通称タワマン。富の象徴として憧れの的だった時代もありましたが、最近は、駅前の再開発とともに計画されることも多く、会社員層でも検討できる物件も。そのようななか、数十年後の未来を案ずる声も聞こえてきます。みていきましょう。
駅前でも廃墟と化す…?数十年後、タワマン住民を襲う「価値暴落」 (※画像はイメージです/PIXTA)

「タワマン」と「高度成長期のニュータウン計画」の共通点

こうもタワマンばかりが増え続けるのは、地価の高騰という事情もあります。特に首都圏ではリーマン・ショックの下落基調が2013年に止まり、以降はぐんぐんと値上がり。コロナ禍でその勢いはストップしたものの、建築費の高騰から物件価格はさらに高くなっています。

 

今後、この流れは郊外へと波及。さらに地方でも、少子高齢化の影響から、交通利便性の高い都市中心部とそれ以外で、地価の差がさらに広がっていくといわれています。

 

そのようななか、地価の高い駅前などを開発するデベロッパーとしては、戸数を増やさないと収益が成り立たず、タワマンを建てざるを得ないということになるわけです。

 

こうして、東京臨海部に限らず、最近は「こんなところにもタワマン」という状況。「再開発→賑わいの創出」がセットになっているので、大歓迎といったところですが、その先に明るい未来が待っているとは限りません。

 

思い出されるのは、高度成長期のニュータウン計画。住宅不足に悩む都心部にかわり、郊外に大規模な団地を造成し、新たな街をつくる取り組みが全国各地で行われました。

 

それから半世紀。爆発的に人口は増えたものの、当時の入居してきた人たちは高齢者となり、「高齢者しかいない街」が全国各地に増加しています。うまい具合に人が入れ替わり、新陳代謝が行われた街は皆無といっていいでしょう。大規模なタワマンとこのようなニュータウンを同列で語り、警報を鳴らす専門家も。

 

確かに、数百の家族が一度に入居してくるタワマン。水平に広がっていた街がタテにつくられているだけで、構造はニュータウンと変わらないといえるでしょう。入居者のほとんどが高齢者……そんなタワマンが全国各地に増えれば、都市の中にポッカリと賑わいを失ったエリアが生まれてしまう可能性があるのです。

 

ニュータウンと違うところといえば、タワマンの多くが駅前の好立地に建つということ。ただし、人口減が進むなか、その優位性がいつまでも保つことができるか、といえば不確実。タワマン=資産性が高い、という理由で購入を決めた人たちには、価値暴落というまさかの未来が待っているかもしれないのです。

 

半世紀後、駅前に廃墟と化したタワマン……そんなリスクをはらむ、昨今のタワマン乱立。人口増のインパクトが大きいだけに、新陳代謝を念頭に入れておかないと、ニュータウンの二の舞を踏むことになってしまうかもしれません。