東京臨海部に建ち並ぶタワーマンション、通称タワマン。富の象徴として憧れの的だった時代もありましたが、最近は、駅前の再開発とともに計画されることも多く、会社員層でも検討できる物件も。そのようななか、数十年後の未来を案ずる声も聞こえてきます。みていきましょう。
駅前でも廃墟と化す…?数十年後、タワマン住民を襲う「価値暴落」 (※画像はイメージです/PIXTA)

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全国で増える「駅前×タワマン」の再開発計画

不動産経済研究所が4月27日発表した『超高層マンション2022』によると、全国で建設・計画が進む20階建て以上の超高層マンション、通称タワマンは、307棟・11万2,142戸達し、前年度の調査から74棟・1万7,211戸も増加しました。

 

そのうち都内23区は119棟・5万8,576戸で全体の52.2%が集中。そのほか大阪市内では33棟・8,905戸、福岡県14棟・2,668戸、北海道9棟・2,157戸、愛知県10棟・2,029戸、宮城県7棟・1,417戸、岐阜県4棟・1,090戸、岡山県3棟・724戸と続きます。

 

大都市圏はもちろん、地方にまで波及しているタワマン。日本初といわれているのは、埼玉県さいたま市(旧与野市)に1976年に誕生した「与野ハウス」といわれていて、高さ66m、21階建て、総戸数463戸にもなる、大規模マンションです。

 

当時は日照権や敷地面積確保などの課題から、都心部にタワマンを建てるハードルは高く、いまのように、都心臨海部にタワマンが建つようになったのは、1997年、建築基準法の改正で共用部分が容積率算出上の延床面積に算入されなくなくなったり、日影規制が緩和されたりしてから。

 

タワマンが人気といいますが、それはロケーションの良さによるところが大きいでしょう。基本的に計画されているのは、郊外であれば駅前の一等地。だいたい「駅前再開発」という言葉でセットになっていることが多いでしょう。不動産はロケーションがすべて、と言い切る専門家もいるほど、立地が多くを左右します。

 

そのため、中古になっても資産価値が高く、値崩れがしにくく、換金性に優れた資産として人気が高まりました。

 

昨今は、高度成長期前後に開発が進んだ都市の更新時期にきていて、前述のとおり再開発の文脈で語られることが多くなっています。「敷地を広く使用するから防災上も有効で、公共施設や商業施設などを盛り込んだ複合施設で、地域の賑わいの核にしよう」というのが、お決まりのパターンになっています。