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原因不明の「無症候性肛門痛」…治療困難なものも
肛門周辺に発生する痛みには、原因のわからない「無症候性肛門痛」と原因の明らかな「症候性肛門痛」があります。
そのなかでも無症候性肛門痛は「一過性直腸肛門痛」と「慢性直腸肛門痛」に分類されます。
一過性直腸肛門痛
一過性直腸肛門痛は、痛みが急に出現し、数秒~数分、最長でも30分以内に消失します。「消散性直腸肛門痛」ともよばれており、夜間から早朝にかけて、突然直腸肛門部に激痛が走り、30分程度七転八倒の苦しみのあと、朝になるとなにごともなかったように治ってしまう、「無性に便が出したい感じがする」というのが特徴として挙げられます。
慢性直腸肛門痛
一方、慢性直腸肛門痛は30分以上続く直腸肛門痛のことで、直腸診で恥骨直腸筋を後方に牽引すると痛みが増強するものが「肛門挙筋症候群」、増強しないものが「非特異的機能性直腸肛門痛」に分類されます。
原因は解明されていませんが、心理的要因や恥骨直腸筋の攣縮(れんしゅく)の関与などが考えられています。治療は困難ですが、鎮痛剤、安定剤、神経ブロックなどで改善する方もいます。
先述した消散性直腸肛門痛などはトリガーポイントへの局注(局所注射)でよくなった文献もありますので、あきらめず治療するのがよいでしょう。ただし、筆者は年間のべ数千人の診察をしていますが、無症候性肛門痛と思われる方は少数です。
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