年々、「発達障害」が身近な問題になっていますが、しかし理解が深まっているか、といえばそうとはいえない現状があります。また理解が進まない現状にこそ、当事者の「生きづらさ」があるようです。みていきましょう
10人に1人が発達障害だが…医師に「グレーゾーン」と診断された人たちの生きづらさ

発達障害と診断「全国で48万人」その半数以上が大人

定期的かつ頻繁に調査されておらず、その調査方法も一定ではないので、いまいち実態が掴みづらい発達障害。それほど微妙なものということもできるでしょう。それゆえ、「生きづらさ」を感じている人も多いようです。

 

厚生労働省『平成28年生活のしづらさなどに関する調査 (全国在宅障害児・者等実態調査)』によると、発達障害と診断された人は、全国で48万1,000人。年齢別にみていくと、10代が圧倒的に多いですが、一方で成人している「大人の発達障害」も多いことが分かります。

 

【発達障害と診断された人の数】

10歳未満:10万3,000人

10~18歳未満:10万7,000人

18~20歳未満:1万5,000人

20~30歳未満:10万7,000人

30~40歳未満:6万人

40~50歳未満:4万9,000人

50~60歳未満:1万5,000人

60~65歳未満:4,000人

65~70歳未満:3,000人

 

出所:厚生労働省『平成28年生活のしづらさなどに関する調査 (全国在宅障害児・者等実態調査)』より

 

発達障害という言葉の浸透により、「自分は周りと違うかも……」と受診したところ、発達障害と診断されるケースが増えています。近年、子どもも大人も発達障害が増えたといわれていますが、単純に医師による診断が増えていることが一因と考えられます。

 

一方で、違和感を覚えながらも受診を躊躇するケースも多いといいます。現在、発達障害という言葉は広く知られるようになったものの、理解が深まっているかといえば疑問です。発達障害と診断がくだることで、差別にあうのではないか……心配なのだといいます。

 

また発達障害とはいえないが、健常者ともいえないと医師から「グレーゾーン」と診断されるケースも多いとか。たとえ早めに他人とは違うとわかっても、医師から数値を見せられて終わり。結局は「生きづらさ」だけが残ってしまった……というわけです。

 

発達障害者支援法では、個人の問題ではなく、社会の問題とされている発達障害。もっと社会で理解を深める必要がありそうです。