年々、「発達障害」が身近な問題になっていますが、しかし理解が深まっているか、といえばそうとはいえない現状があります。また理解が進まない現状にこそ、当事者の「生きづらさ」があるようです。みていきましょう
10人に1人が発達障害だが…医師に「グレーゾーン」と診断された人たちの生きづらさ

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クラスに2~3人は発達障害…通級に通う児童は11万人

最近、発達障害に対する理解、関心が高まっています。そもそも発達障害、厚生労働省では、「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です」(厚生労働省ホームページより)としています。そして「自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれます」と記している通り、さまざまな症状を総称しています。

 

知的障害と混同されやすい発達障害ですが、それは仕方がないことかもしれません。広義の意味ではどちらも精神障害で、単純に分類の仕方が違うだけ。発達障害は前出の通り「脳の障害」。複数の発達障害をもつケースも珍しくなく、障害についても個人差があります。また必ずしも知的障害を伴うものではありません。

 

一方、知的障害は精神遅滞ともいわれ、医学的観点でいうと「知的知能の遅滞がみられる(IQがおおよそ70以下)」「意思伝達、自己管理、家庭生活、社会・対人技能、地域社会資源の利用、自律性、学習能力、仕事、余暇、健康、安全などの面での適応機能に制限がある」「おおむね18歳以下で表れる」といったものです。

 

よく発達障害の児童がクラスに2~3人いる、つまり10人に1人は発達障害だ、とよく耳にしますが、これは2012年に文部科学省が全国の公立小中学校1200校、通常学級に在籍する児童生徒約5万2,000人対して行った調査によるもの。同調査では、発達障害とされたのは全体の6.5%。細かくみていくと、特定の分野の学習に困難を示す学習障害(LD)の可能性があるのは4.5%、注意力の欠如や衝動性などを特徴とする注意欠陥多動性障害(ADHD)は3.1%、知的発達に遅れのない高機能自閉症と判断されたのは1.1%。一部重複がみられました。

 

また文部科学省『令和元年度 特別支援教育に関する調査』によると、国公私立小学校、中学校及び高等学校の通級に通う児童生徒数は13万4,185人。公立小学校では11万6,518人が通級に通い、そのうちADHD、学習障害、自閉症のいずれかが、5万9,439人。通級に通う児童の半数強が発達障害です。また当時、公立小学校に通う児童は約625万人であることから、100人に1人が発達障害とされ、通級に通っていたことになります。