公的年金の受給額が、2年連続の減額となりました。今後の大きな流れとしては「年金減額」へと動くといわれ、より一層の自助努力が求められいきます。そこで重要なのは、まず「どれくらいの年金がもらえるか」を知ることから。みていきましょう。
年収600万円だったが…65歳での「年金額」に大卒会社員が肩を落とす

大卒男性会社員の平均年収は「631万0,400円」…将来の年金額は?

よく「将来、年金がもらえなくなるのは……」と心配を口にする人がいますが、日本の年金制度は将来の人口推計をもとに設計、運営されているので、現状、そして将来の少子高齢化は織り込み済み。「年金ゼロ」というのは非現実的だといえます。

 

しかし、現状の年金制度は、物価が賃金によって上下する仕組みであり、大きな流れとしては今後、年金が増えていくとは考えにくい状況です。年金だけでは老後、安心して暮らすことはできないので、高齢者になって働き続けられるよう定年制度の改革を行ったり、資産形成を促したりと、政府は自助努力を促しています。

 

自助努力をするにしても、まずはどれくらい年金がもらえるか、知ることが出発点。厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均受給額は月額5万6,358円、厚生年金は月額14万6,145円です。

 

実際の厚生年金の計算式は、以下の通り。

■加入期間が2003年3月まで

平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数

■加入期間2003年4月以降

平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数

 

標準報酬月額とは、報酬月額の区分(等級)ごとに設定されている計算用の金額のことで、現在、50等級に分かれています。つまり支給額に上限がある、ということです。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性会社員の月収は41万7,400円。推定平均年収は631万0,400円です。仮にこれが40年間とおしての平均年収とイコールだとすると、簡易的な計算ですが、月々18万1,200円ほどを手にするというわけです。

 

この年金額で足りるかどうかはさておき、65歳から18万円強を手にするとして、乗り越えなければならないのは、むしろ、現役時代とのギャップかもしれません。

 

同調査で大卒男性会社員が60代前半で手にしていた給与をみていくと、月収は39万2,700円、推定平均年収は568万4,100円。もし65歳定年で、以降は年金だけの生活になったとしたら、月々手にするお金は半分以下になる、ということです。

 

それまで、月に40万円ほどを手にすることを前提した生活をしていたとしたら、その生活を維持するには、足りない分は貯蓄を取り崩すことになります。その額、月に21万円、1年で250万円強。もし定年後、20年、老後があるとすると5,000万円、30年だと7,500万円が必要になる計算です。

 

あくまでも数値上の話で、その通りお金がかかるわけではありませんが、現役時代の給与と年金額のギャップは、少々、げんなりしてしまう現実です。このギャップを乗り越えるためにも、早め早めの資産形成が重要なのです。