中古の不動産投資物件を購入する際に気がかりなのが劣化や損傷が発生した時の修繕費です。購入後にそれらの修繕が突然発生すれば、投資の収支計画が大きく狂ってしまうかもしれません。そこで今回は修繕費をあらかじめ準備できるように、建物の劣化を見分ける方法を解説します。
突然の修繕で収益悪化、破綻危機!不動産投資の勝敗を分ける「建物劣化」の見分け方

修繕履歴を確認し見通しを立てる

購入前の物件で入居者がいると部屋のなかの状態を確かめられない場合もあるでしょう。そこで物件購入の前にぜひ確かめたいのが、過去の修繕を記録した修繕履歴です。これは建物の管理組合や管理会社が保管しており、仲介会社を通じて問い合わせれば事前に見ることができます。

 

これを見ると建物の状態を把握でき、今後の修繕の見通しをある程度立てることができます。さらに費用の明細や工事内容が記録されていることもあって、購入後の資金計画の大きな参考になるはずです。

 

どの物件でも必ず記録されているとは限りませんが、仲介会社は依頼があれば有無を確認する義務があるので、購入を検討する際はぜひ聞いてみるようにしましょう。

修繕履歴で確かめたいポイント

ここからは突然修繕費がかかってしまうことを防ぐために、修繕履歴でチェックしておきたいポイントを紹介します。

 

設備の設置年数を確認する

修繕履歴では設備の設置年数を確認しましょう。もしエアコンやボイラー、IHなどの機械設備が設置から15年以上経過しているなら、近いうちに交換になる可能性があります。それまで順調に作動していても突然故障することもあるため、修繕費用の準備をしていた方が賢明です。

 

修理が頻繁かどうか確認する

建物の同じ箇所を頻繁に修繕しているかどうかも修繕履歴で必ず確認しましょう。年数がそれほど古くなくても修理やクレームが多ければ再発する可能性があり、費用がかかってしまうかもしれません。

 

特に雨漏りの有無は最も確実に確認したい部分です。建物修繕のなかでも雨漏りは原因特定がかなり難しく再発性が非常に高いためです。

 

大規模修繕の履歴

大規模修繕と呼ばれる建物の外壁や屋根などの修繕が適切に行われているかも、しっかりと確認しましょう。

 

区分マンションを購入する際はその部屋の状態にばかり目が向きがちですが、大規模修繕が適切に行われていないと外壁や共用廊下の損傷が発生しやすくなります。こういった物件は見た目が悪く入居者が集まりにくくなるからです。

 

また屋根が劣化したままなら雨漏り被害が起きる可能性もあり、入居者に被害を及ぼす事態も考えられます。建物全体としても良好な状態であるかは売却時の価格にも影響するため、大規模修繕の履歴は必ず確かめるようにしましょう。

修繕済み物件で突然の出費を防ぐ

修繕が終わっている物件を購入したり、あるいは購入と同時に修繕を行ったりすれば、突然修繕費がかかることを防ぎやすくなります。内装や設備が新しければ当面は修繕費がかかる心配もなく、さらに見た目もいいため入居者が集まりやすく空室回避にもつながります。

 

初期費用はかかりますが購入時であれば融資にその修繕費用を含められる物件もあり、手持ち金を使わずに新しい状態の物件にすることもできます。

 

あるいは内装や設備をグレードアップし入居者層に合わせたデザインにリノベーションすると、物件の価値が高まりより多くの収益が期待できます。特に需要は安定しているものの競合の多い都心では差別化にもなるため、検討する価値は大いにあるでしょう。

 

 

山崎 博久

リズム株式会社

アセットコンサルティング事業部長