医師として働けなくなった際のリスク
医師は収入が多い分、生活費も高額になる傾向があります。2021年の総務省の調査によると、年収が863万円以上ある世帯の平均的な1ヵ月の消費支出額は、424,993円です。
毎月かなりのお金を使っているため、引退後に収入が大幅に減少した場合、生活水準を落として消費支出を減らす覚悟が必要です。また、病気などにより予想していたより早く引退しなければならなくなるリスクもあります。
一度上げた生活水準を下げることは、非常に困難です。買いたい物を買えない、これまでより安い商品を買うといった生活はストレスがたまります。
老後もなるべくストレスなく生活するためには、現役のうちに必要な備えを作っておく必要があります。
老後も生活水準を維持するにはいくら必要?
それでは、老後も現役時代の生活水準を維持するにはいくら必要なのでしょうか。
2021年の総務省の調査によれば、年収863万円以上の世帯の平均可処分所得は月額689,966円です。
仮にこの金額を60歳から80歳まで毎月使うとなると、必要な額は約1億6,500万円、一般に高額所得者が使うとされる月額80万で計算すると約1億9,200万円です。
公的年金によって賄える分や投資などで継続的に得られる収入については、貯蓄として準備する必要がないものの、生活水準の維持には相当な額が必要になることがわかります。
これだけの金額を引退間際になってから準備することは、現実的ではありません。収入の多い現役のうちから計画的に資産を作ることが大切です。
「公的年金での生活」は現実的ではない
医師が老後に受け取れる公的年金は、いくらになるのでしょうか。公的年金には20歳以上60歳未満の国民すべてが対象となる国民年金と、会社に勤務する人などが加入する厚生年金があります。
勤務医で厚生年金を払っている方も多いでしょう。以前は公務員などを対象とした共済年金もありましたが、現在は厚生年金に一元化されています。
公的年金の金額は、開業医で月額6万円程度、勤務医で月額20万円程度と考えられます。勤務医の金額が高い理由は、厚生年金が上乗せされているためです。
これまでの生活水準から考えて、この金額で生活することは現実的ではないでしょう。しかも、この金額は長期にわたり年金を納め続けた人を想定しており、医師のように様々なキャリアを経る職業の方は公的年金の未加入や払い漏れなどにより受け取れる年金額がさらに少なくなるおそれもあります。
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