SDGsへの関心の高まる一方で、日本では『ジェンダー平等を実現しよう』の達成度が低く、課題となっています。東京都が行った調査から、性的マイノリティの人たちが置かれている現実をみていきましょう。
日本人の10人に1人が「LGBTQ」…その3割が「困難に直面」の現実

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10人に1人が性的少数派…その3割が「困難」に直面している

多様性という言葉が、あちらこちらに聞かれるようになった昨今。以前であれば少数派ということで差別や偏見であふれていたことも、徐々にではありますが、意識されるようになっています。

 

その1つが性の多様性。「LGBTQ」は、女性の同性愛者であるレズビアン、男性の同性愛者であるゲイ、両性愛者であるバイセクシュアル、自身のセクシュアリティを決められないクエスチョニングの頭文字をとった言葉で、さらにSexualOrientation(性的指向)とGenderIdentity(性自認))の頭文字をとった「SOGI」との表現も耳にしたことがあるでしょう。

 

最近では、戸籍上同性であることなどを理由に婚姻ができない2人に対し、自治体が互いの合意のもとにパートナーシップ関係にあることを承認するパートナーシップ制度を取り入れる自治体が増えています。

 

東京都では「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」を策定し、性的マイノリティに対する取り組みを行っていますが、その基本計画の見直しやパートナーシップ制度の検討のために『性自認及び性的指向に関する調査』を行い、先日、その結果を公表しました。

 

国勢調査をもとに本調査が行われたものですが、それによると、非LGBTQ層は91.5%。無回答0.8%を含みますが、10人に1人は性的マイノリティでした。

 

該当者に「あなたがこれまでにLGBT等・性的少数者であることが理由で経験したことはありますか。」の問いに対して、33%、3人に1人は困難な経験に直面したことがあると回答しています。

 

経験内容は大きく、「①周囲のリテラシー不足によって引き起こされる問題」「②パートナーと法的な家族になれないことで生じる問題」「③戸籍性で区分されることによる問題」に分けられます。

 

経験率が高いのは、①では「相談相手の不在」「親の無理解」「差別・いじめ」「職場でのハラスメント」、②では「職場で法的な家族と同様の福利厚生が受けられない」「社会保障上の家族扱いを受けられないことによる不都合」、③では「トイレや更衣室の利用で望む性で施設を利用できない」、「宿泊を伴う行事で望む性での区分けをしてもらえない」「望む性の制服を着ることができない」「性別記載欄で選択すべき性に戸惑いを感じた」の経験率が高くなっています。

 

さらに困難な経験に対し、「とても困難に感じた」「困難に感じた」という回答が多かったのは、「差別・いじめ」「相談相手の不在」「親・友人の無理解」と、周囲の無理解等による諸問題の困難度が高い傾向にありました。