会社が利益の一部を株主へ現金で還元するのが「配当金」です。そして、利益に対して配当金の割合が高い会社(=配当性向が高い)は、株主還元の姿勢が強いと評価されます。しかし、配当には別の考え方もあると株式会社ソーシャルインベストメントの川合 一啓氏はいいます。みていきましょう。
100億円の純利益…株主が得するのは「配当あり」or「配当なし」? ※画像はイメージです/PIXTA

「とりあえず配当をもらう」というのも1つの考え方

しかしながら、上手に投資をして毎年順調に純利益を増やしていくというのは、実はそう簡単なことでもありません。

 

企業の投資といえば設備投資や買収などがそれに当たりますが、設備投資をして新事業を始めてもそれがうまくいかなかったり、買収に高いお金を払ってしまい結局元をとれなかったり、ということは珍しくありません。

 

そもそも、いい投資先がない、みつけられない、ということもまた珍しくないでしょう。また、決算書の見栄えをよくして連続増益を演出する会社も、ないわけではありません。

 

ですから、とりあえず配当をもらっておく、というのもやはり1つの考え方となります。「上手に投資をして増益を続ける可能性はそう高くないのだから、とりあえず現金をください」という投資家から企業への希望も、やはり成り立つのです。

 

また、多くの個人投資家は、経営に影響を及ぼせるほど株を取得できるわけではありません。「モノ言う株主」ならぬ「モノ言えない株主」なのです。確かに、株式はその会社の所有権の一部です。しかし、多くの個人投資家にとって株式は、配当という利回りがある単純な有価証券である、という面もやはりあるのではないでしょうか。そして配当をもらった投資家は、そのお金でよりリターンの大きい投資先を探してもよいのです。

成長できる会社の配当は不要、そうでなければ配当

会社は利益を配当金という形でそのまま株主に還元するよりも、なんらかの投資に回して利益を増やして株価を向上させ、それ以上の株主還元をすることもできます。それができる経営者こそ優秀な経営者だといえ、そんな経営者のいる会社に投資をするのも、1つの投資戦略です。

 

しかし、それができない会社からは、配当をもらうことがやはり株主還元となるでしょう。そして配当をもらった投資家は、そのお金でよりリターンの大きい投資先を探してもよいのです。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓

 

 

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