社名にその名前が入っているだけで絶対的な信頼が得られる、「三菱」と「三井」。二つの巨大グループの中核企業の給与事情を、有価証券報告書から紐解いていきます。
「三菱」vs.「三井」の平均給与…日本経済を牽引する中核企業、納得の給与額

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良きライバル⁉「三菱グループ」と「三井グループ」

財閥とは戦前に独占的に事業を展開していた一族やその経営形態のこと。日本では1947年に、連合国軍最高司令官総司令部の指令により解体させられましたが、その後、企業グループとして再結集して今に至ります。

 

そんな財閥の流れをくむ財閥のうち、代表格であり、ライバルのように取り上げられることが多いのが、三菱グループと三井グループ。

 

三菱グループは、土佐藩が大阪で経営していた「九十九商会」を岩崎弥太郎が買い受け、「三菱商会」(現在の日本郵船)と改称したのが始まり。「三菱は岩崎家一個のものではなく、国家社会のための三菱である」「三菱は国家なり」という言葉のとおり、国の礎となる事業を数多く展開しています。また「組織の三菱」と称されるとおり、旧財閥系の企業グループのなかでは結束が強いことで有名です。

 

一方、三井グループは1673年、三井高利が江戸・日本橋に呉服店「越後屋八郎右衛門」(現在の三越)ののれんを掲げたことに始まります。商業・金融部門に重点を置く一方で、重化学工業の比率は小さいのが特徴。戦後、三菱や三大財閥の一角、住友に比べて再集結が遅れたことなどから、戦前までの規模からは縮小しましたが、巨大企業グループであることに変わりはありません。代々、有能な人材を多く輩出したことから「人の三井」と称されるとともに、三菱グループに比べて結束は表面上は緩やかで、グループ内で動きやすいのも特徴といわれています。

 

そんな日本を代表する企業グループですが、就職人気も高いのは当然のこと。グループが連携し経営の安定性がたかいうえに、待遇面も充実。財閥系というだけで信頼力もあり、「財閥系に就職できれば一生安泰」というのが通説です。

 

しかし2019年に大手生命保険会社の「三井生命保険」が日本生命の子会社となり、社名が「大樹生命保険」となったように、グループからの脱退ということも。それでも三菱、三井にルーツをもつことは、信頼にも安定にもつながることは、少なからずあるようです。