働く意思はあり、就職活動をしているのにも関わらず、仕事のない「完全失業者」。彼らの傾向をみていくと、「失われた世代」の実情が浮かび上がってきました。みていきましょう。
条件なんてどうでもいい!それでも仕事がない「ロスジェネ世代」を待ち受ける老後の悲惨

「働きたいのに仕事がない」が多い40~50代

働きたいのに働けない理由……年齢別にみていきましょう。どの年代も「希望する種類・内容の仕事がない」という、仕事へのこだわりによるものが最多。また若い世代ではみられない求人年齢の障壁は、年齢があがるごとに顕在化していきます。

 

■25~34歳

賃金・給料が希望とあわない:6.7%

勤務時間・休日などが希望とあわない:11.1%

求人の年齢と自分の年齢とがあわない:0.0%

自分の技術や技能が求人要件に満たない:11.1%

希望する種類・内容の仕事がない:33.3%

条件にこだわらないが仕事がない:6.7%

 

■35~44歳

賃金・給料が希望とあわない:8.1%

勤務時間・休日などが希望とあわない:16.2%

求人の年齢と自分の年齢とがあわない:8.1%

自分の技術や技能が求人要件に満たない:8.1%

希望する種類・内容の仕事がない:24.3%

条件にこだわらないが仕事がない:8.1%

 

■45~54歳

賃金・給料が希望とあわない :7.0%

勤務時間・休日などが希望とあわない:14.0%

求人の年齢と自分の年齢とがあわない:11.6%

自分の技術や技能が求人要件に満たない:4.7%

希望する種類・内容の仕事がない:30.2%

条件にこだわらないが仕事がない:7.0%

 

■55~64歳

賃金・給料が希望とあわない:8.6%

勤務時間・休日などが希望とあわない:8.6%

求人の年齢と自分の年齢とがあわない:25.7%

自分の技術や技能が求人要件に満たない:2.9%

希望する種類・内容の仕事がない:28.6%

条件にこだわらないが仕事がない:5.7%

 

また「条件にこだわらない、それでも仕事がない」という人は、「35~44歳」で最多。続いて「45~54歳」で高くなっています。この年代、ちょうど新卒時に就職が困難だった「就職氷河期世代」とか「ロスジェネ世代」などと呼ばれる人たちと重なるのは偶然ではないでしょう。

 

新卒時、就職できずにパートやアルバイトなどでまずはしのぎ、なんとか生きてきた世代。なかには引きこもりやニートとなり、社会問題になりました。雇用環境が改善されても、そのときには十分なキャリアを積んでいないからと社員採用を望むも叶わず、一度も正社員として働くことができなかった、「失われた世代」の人たちです。

 

政府も就労支援のためにさまざまな施策を講じています。しかしキャリア的に劣る40~50代を正社員として受け入れる企業のキャパシティも限られているため、いまだに浮上できずにいる人が大勢いるのです。

ロスジェネ世代に一生「リタイア」はない?

十分なキャリアを積んでこれなかった、40~50代。仮に厚生年金に一度も入ることなく、しかし国民年金はずっと払い続けたと仮定すると、65歳からもらえる年金は年額78万0,900円。月額6万5,000円ほどです。

 

居住地やライフスタイルにもよりますが、月に6万円強で生活するには苦しいでしょう。足りない分は貯蓄が頼りとなりますが、そのようなものがあるとは到底考えられません。貯蓄がないなら、選択肢はひとつ。仕事をするしかないでしょう。

 

リタイアという言葉は、この世代にはない言葉なのかもしれません。