金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』の最新調査から、おひとり様の資産形成の実情をみていくと、哀しいほどの格差がみえてきました。みていきましょう。
貯蓄3,000万円、将来年金20万円強…「勝ち組単身者」の高笑い (※写真はイメージです/PIXTA)

おひとり様の老後…年金格差が酷い

同調査では「生活設計策定の有無」、つまり将来を見据えているかどうか、を尋ねていますが、27.5%が「ない*」と回答。また老後の生活に関して76.4%が「心配」と回答し、さらに42.9%が「非常に心配」と強い危機感を抱いています

 

*現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない

 

2021年、厚生年金の平均受給額は月額14万6,145 円、国民年金の平均受給額は月額5万6,358 円です(厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』)。さらに受給額の分布をみていくと、国民年金では5万円に満たない人が全体の26.4%。厚生年金では平均に満たないと考えられるのが47.9%、さらに10万円未満が30.2%、5万円未満が2.6%です。

 

現状の年金の受給額で足りるかどうかは、老後のライフスタイルによりますが、十分とはいえない額です。

 

一方で、年金受給額が20万円を超える人たちは全体の16%います。このなかに前出のように貯蓄が3,000万円以上あるという人たちがどれほど含まれるか定かではありませんが、現役時代の給与額が如実に年金受給額にも反映されることを鑑みると、多くがこの層にあたると考えられます。

 

積極的におひとり様なのか、それとも仕方なくおひとり様なのか。それは人それぞれ。ただ現役時代の収入格差が、そのまま貯蓄格差となり、さらには年金格差となるという事実は変わらないもの。いまある格差は哀しいほど、生きている限りは続いていくのです。