ロスカットや損切りという言葉はFXをしているなら何度も耳にする言葉です。基本的には同じ意味を持つ言葉ではありますが、目的や内容は微妙に異なります。
大損失の場合も…FXの「ロスカット」と「損切り」回避のポイント【プロトレーダーの解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

多額の損失を被る場合も…「ロスカット」の注意点

ロスカットは、FX会社によって基準が異なります。外為どっとコムは証拠金維持率100%未満でロスカットになりますが、SBI FXトレードは50%未満でロスカット執行です。ロスカットは損失拡大を防ぐための措置ですが、全ポジションの含み損が確定するため証拠金の大半を失うことになります。

 

また、アラートメールの通知後すぐにロスカットになることもあるので注意が必要です。ここでは、ロスカットにおける注意点について見ていきましょう。

 

FX会社によって基準が異なる

ロスカットは証拠金維持率がFX会社の定めた基準を下回ると執行されますが、基準はFX会社によって異なります。そのため、自分が利用するFX会社のロスカット基準を事前に把握したうえで、資金管理をすることが大切です。

 

以下は、主なFX会社のロスカット基準です。

 

FX会社

ロスカット基準

外為どっとコム

証拠金維持率100%未満

DMM FX

証拠金維持率50%以下

ヒロセ通商

証拠金維持率100%未満

みんなのFX

証拠金維持率100%以下

SBI FXトレード

証拠金維持率50%未満

GMOクリック証券FXネオ

証拠金維持率50%未満

 

このようにFX会社によって基準が異なりますが、概ね証拠金維持率50%〜100%がロスカットラインになります。ただし、基準となる数字は同じでもFX会社によって「OO%未満」の場合と「XX%以下」の場合がありますので注意してください。

 

また、投資家がロスカット基準を選択できるFX会社もあります。利用するFX会社のロスカットルールをよく確かめて取引するようにしましょう。

 

ロスカットになると証拠金の大半がなくなる

証拠金維持率が一定基準を下回りロスカットが執行されると、ポジションが強制決済されるので含み損が確定します。

 

その結果、証拠金の大半を失うことになるため注意が必要です。含み損のままであれば相場が回復すると損失が縮小し、場合によっては含み益へと変わります。しかし、ロスカットになると損失が確定してしまうため、相場が回復しても多額の損失を負います。

 

証拠金の大半を失ってしまうため、ロスカットにならないように取引をすることが大切です。

 

ロスカットアラート後すぐにロスカットになることもある

証拠金維持率が一定水準を下回ると、ロスカットの注意を促すアラートメールが届きます。たとえば、外為どっとコムであれば証拠金維持率が200%を下回るとアラートメール、100%を下回るとロスカット執行です。

 

しかし、相場の急落や高レバレッジ取引の場合は含み損が一気に増えて証拠金維持率が急激に低下するため、アラートメールからロスカット執行までの時間的猶予がほとんどないことがあります。そのため「アラートメールが届いたけどロスカットはまだ大丈夫だろう」と油断していてはいけません。

 

アラートメールが届いたら、すぐにロスカット回避に向けた対処が必要です。

「損切り」の注意点

感情的な取引や収益の不安定化を防ぐためにも、損切りは事前にルールを決めておくことが大切です。また「忙しくてチャートを見続けることができない!」という方は、ストップ注文を活用したほうがいいでしょう。

 

ここでは、損切りの注意点について紹介します。

 

事前にルールを決めておく

損切りをする際は、事前にルールを決めておくことが大切です。ルールがあれば感情的な取引を回避できます。

 

・含み損がOO円になったら損切りをする

 

・米ドル/円が108円を下回ったら損切りをする

 

・XX pips動いたら損切りをする

 

などルールを決めておきましょう。そうすれば「もう少し待てば相場が回復するかもしれない」と淡い期待を持ち、そのまま含み損が拡大することを防げます。また、ルールを決めていれば損失をコントロールでき、収益の安定化につながります。

 

経験豊富な上級トレーダーであればいいですが、初心者は感情的にもなりやすいため事前に損切りルールを決めておきましょう。

 

ストップ注文(逆指値注文)をうまく活用する

「仕事があるので常にチャートを見続けることはできない」という方は多いでしょう。そのような場合はストップ注文(逆指値注文)を活用してみてください。

 

ストップ注文は、現在より相場が不利な方向に動いた際に指定発注できる注文方法です。

 

「現在は1ドル=110.000円だが、109.500円まで下がったら売り注文」とあらかじめストップ注文を設定しておけば、1ドル=109.500円になった時に損切りができます。自動で注文が出されるため、仕事で忙しい人でも安心です。

 

損切りルールを決めていても実行できなければ意味がありません。常にチャートを見ることが難しい場合は、ストップ注文を活用しましょう。