今年の10月、厚生年金の適用要件が拡大されます。「正社員」と「非正社員」で大きな格差があるケースが多かったですが、そんな格差も縮小の傾向にあります。しかしすべての問題が解決するのかといえば、そう簡単なものではないようです。みていきましょう。
平均給与326万円…正社員になれなかった日本人の「無残な老後」 (※写真はイメージです/PIXTA)

正社員と非正社員…将来受け取れる年金額は?

今回の厚生年金適用拡大によって、「働く人はみんな厚生年金適用にする」という時代になります。しかしこれで年金格差がなくなるか、といえばそうではありません。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、平均給与は男性正社員で571万0,800円、非正社員は326万8,000円。年間、245万円ほどの給与差があります。

 

【男性「正社員」の平均給与の推移】

~19歳::2,514,500円

20~24歳:3,330,200円

25~29歳:4,207,200円

30~34歳:4,894,900円

35~39歳:5,560,200円

40~44歳:6,051,900円

45~49歳:6,533,100円

50~54歳:7,070,400円

55~59歳:7,058,600円

60~64歳:5,281,100円

 

【男性「非正社員」の平均給与の推移】

~19歳::2,409,200円

20~24歳:2,524,400円

25~29歳:2,892,800円

30~34歳:3,053,100円

35~39歳:3,245,300円

40~44歳:3,305,400円

45~49歳:3,364,900円

50~54歳:3,326,500円

55~59歳:3,462,900円

60~64歳:3,969,400円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』

 

さらに正社員と非正社員、将来もらえる年金額についてもみていきましょう。あくまでも単純計算ですが、仮に現在50歳の男性だとすると、正社員で月額16.2万円万円、非正社員で10.9万円になります。月に5万3,000円、1年で114万6,000円。仮に年金受給から20年、生きたとしたら、2,600万円も受取額に違いが生じるのです。

 

厚生年金の適用拡大で、将来受け取れる年金額の差は縮まります。しかし厚生年金は現役時代の給与で受け取れる年金額が変わるため、給与格差ほどでないにしろ、正社員か否かで大きな年金差は存在し続けます。結局「正社員になれるか、なれないか」によって、老後まで決まってしまう世の中はそのままというわけです。立場の違いは、現役を引退した後もついてまわります。