昨年は、小田急線や京王線で車内で乗客が襲撃されるという衝撃的な事件が相次ぎました。通勤・通学で鉄道を利用している人であれば、日ごろ目に余るような行為を目撃することもあるでしょう。特に近年は、鉄道係員への暴力行為が問題視されています。国土交通省の資料から、その実態をみていきます。
あまりに理不尽…「鉄道係員への暴力事件」驚きの発生件数 (※写真はイメージです/PIXTA)

鉄道係員への暴力…都道府県別にみていくと

国土交通省の資料にもどり、暴力行為の事例について、一部、見ていきましょう

 

駅改札口にて、ICカードを切符投入口に入れようとし、出られない関係者がいたため、駅員がICカードを 読み取り部にタッチするよう促した。関係者が改札口を出たところで突然激高し、対応した駅員の右胸を殴打した。駅員は身の危険を感じ110番通報を行った。

※曜日:火曜日、時間帯:19時、加害者年齢70代、飲酒の有無:あり

 

車内巡回の際、自由席券をお持ちの方が指定席号車に着席していたため自由席号車をご案内したところ、胸ぐらをつかまれネクタイを締めあげられた。

※曜日:木曜日、時間帯:17時、加害者年齢60代、飲酒の有無:あり

 

「切符をなくした」と申告を受けた。再度購入の必要がある旨を伝えたところ、「詐欺師だ」「ふざけるな」等の言動を繰り返し、510円の請求に対して1,000円札を渡してきた。お釣りを渡そうとした際、突然右足で車掌の左腹部を一度蹴った。(腰部挫傷)

※曜日:土曜日、時間帯:22時、加害者年齢:50代、飲酒の有無:不明

 

ホームで仰向けに寝ているお客さまがいたので声を掛け、目を覚ましたが自力で立つことができないため係員2名で手助けしたところ、突然激高し、係員1名に対しいきなり顔面を複数回殴打した。(鼻中隔骨折 及び右耳介血腫 全治1週間) また、加害者は傷害罪及び公務執行妨害罪で略式起訴され、30万円の罰金刑が確定した。

※曜日:金曜日、時間帯:1時、加害者年齢:20代、飲酒の有無:有

 

出所:国土交通省資料より

 

飲酒しているが故の行為と推測されますが、なんとも理不尽なことで暴力行為を受けている鉄道係員の姿が目に浮かびます。

 

さらに都道府県ごとの発生状況をみていくと、19の県でゼロ。そのなかで暴力行為の3割を占めるのが「東京都」で135件。続く「神奈川」88件と合わせると、過半数超え。利用者の比率から考えると、首都圏の割合が非常に高くなっています。

 

鉄道係員の暴力行為に限らず、鉄道での迷惑行為は、遅延等にも繋がり、利用者全体に影響を及ぼすものです。「乗客トラブルで電車が遅れて……」そんな理由で、大事な商談に遅れた、ということも。トラブルの多くが飲酒によるものなので、日ごろからほどほどにしたいものです。