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鉄道係員への暴力行為…全国で439件発生
昨年発生した、小田急線や京王線での事件を受け、国土交通省は鉄道各社が今後、新たに導入する列車内に防犯カメラの設置を義務付ける方針を決定しました。また京王電鉄が今月初めに公表した防犯対策では、2023年度末までにすべての車両と駅に防犯カメラの設置を進めるとともに、駅停車時に車両のドアとホームドアの位置がずれていても、非常時にはどちらも開けられる運用に変更するとしています。
このような凶悪事件までいかなくても、鉄道係員は、日々、迷惑行為に悩まされています。
国土交通省の発表によると、2020年度、鉄道係員に対する暴力行為は、全国で439件発生。近年の発生状況の推移をみてみると、減少は6年連続で、特に2019年から2020年にかけては172件と大きく減少しました。ただこれはコロナ禍による鉄道利用減も起因していると考えられます。また「加害者の60%が飲酒」と、お酒がらみによる暴力事件が多いようです。
【鉄道係員に対する暴力行為の発生状況の推移】
2012年:932件
2013年:852件
2014年:887件
2015件:878件
2016年:825件
2017件:679件
2018年:670件
2019年:611件
2020年:489件
出所:国土交通省資料より
また一般社団法人日本民営鉄道協会の発表では、大手鉄道会社16社で2020年に発生した暴力行為は377件。発生時期は10月が最も多く44件。金曜~日曜日の週末、22時から5時の深夜帯が発生件数が増える傾向にあります。ここでも「加害者の57.6%が飲酒」という状況から推測される通りの発生のタイミングだといえるでしょう。
【鉄道係員に対する暴力行為の発生時期(2020年)】
1月:43件
2月:31件
3月:44件
4月:11件
5月:32件
6月:35件
7月:31件
8月:38件
9月:26件
10月:44件
11月:42件
12月:31件
出所:一般社団法人日本民営鉄道協会資料より作成
また加害者の年齢について、最も多いのが60代以上で22.1%。50代(19.9%)、30代、40代(ともに18.0%)、20代以下(17.0%)となっています。意外と年齢の高い層の加害者が多いことに驚かされます。