東京都心では、マンション価格がバブル超え。「そんな高いマンションを買えるか……」と思わず嘆息してしまう水準です。いま、会社員が買える街とは。今回は、千葉県「八街」に焦点をあてます。
格安でマイホームが買える「千葉県・八街」…東京都心に電車通勤の現実味 ※画像はイメージです/PIXTA

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買って住みたい街で急上昇…「千葉県八街」

先日発表された、「LIFULL HOME'S 住みたい街ランキング」。「借りて住みたい街(駅)」と「買って住みたい街(駅)」の2つのランキングが紹介されています。どちらのランキングもよく知られた街が並びますが、「買って住みたい街」ランキングに、地元の人には失礼ですが、少々異質な街が7位にランクイン。前年から10アップと大幅に順位をあげた「八街」です。

 

千葉県のほぼ中央部、千葉市の北に位置する市で、人口は7万人弱。成田国際空港からも近く、東京のベッドタウンとして発展してきました。

 

しかし街の中心駅である総武本線「八街駅」の時刻表をみてみると、平日、通勤時間帯は「千葉」行きの普通電車が1時間に2~3本。ほか「東京」行きの特急「しおさい」や快速「大船」行きがある程度。都心まで毎日通勤することを前提にするには、少々厳しいと感じる人もいるでしょう。

 

また駅周辺には目立った商業の集積はなく、ほかの地区に街の中心があるわけでもありません。都市計画が実行されなかった結果、職住商などが、広範囲に無秩序に分布、拡大しているスプロール現象が顕著な街であり、東京近郊によくある「駅前である程度のものが揃う」という生活は、八街ではありえません。

 

代わってロードサイド店が充実し、日常品の購入はこれらの店で揃えることになります。車必須の街だといえるでしょう。

 

そんな八街でよく目にするのは畑。市の基幹産業は農業で、千葉県が代表特産品、落花生の県内有数の産地であるほか、サトイモやニンジン、スイカなど出荷額は全国有数の規模を誇ります。

 

また有名なのが「やちぼこり」です。これは春先に発生する強い砂ぼこりのこと。落花生畑に何も植えられていないため、春の強風で砂が舞い、まるで砂嵐のような情景をつくりだします。あまりに視界不良のため、昼間でもフォトランプをつけないと車の運転はできなくなるほどです。

広い家がそんな価格で!八街ならリーズナブルにマイホームが叶う

そんな八街。マイホーム検討層にとって最大の魅力は、なんといっても家の安さ。国土交通省『土地総合情報システム』によると、駅徒歩30分圏内で建て売り(土地+建物)の平均価格は961万円(土地:平均172平米、建物:平均132平米)。さらに駅からの距離にこだわらなければ、平均価格は370万円とかなりリーズナブルに。

 

さらに新築の注文住宅を考えて土地から探したとすると、駅徒歩30分圏内で平米単価1万5,000円ほど。3,000万円ほどあれば、広々とした土地に広々とした新築一軒家がかないます。

 

そんな価格がこのコロナ禍に支持され、移住先として八街は人気を集めたといいます。環境のいいところで子どもを育てたい、と考えていた層が、在宅勤務で出社の必要がほとんどなくなったコロナ禍、実際に郊外への移住を決断した人たちも多くいました。八街は、そんな人たちの絶好の受け皿でもあったのです。