内閣府から発表されたレポートから、25~34歳の若年層で所得格差が拡大している実態が明らかになりました。一方で、正社員と非正社員の格差は縮小傾向にあるといいます。しかしそこにあったのは、格差是正を喜んでもいられない日本の実情でした。
正社員「平均給与521万円」…非正社員との「格差縮小」も喜べない、凋落した日本の実情 (※写真はイメージです/PIXTA)

正社員と非正社員の給与についてみていきましょう。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によると、2020年、正社員の平均年収は521万5,000円。男女別にみると、男性571万1,000円、女性418万7,000円でした。一方、非正社員の平均年収は294万1,000円。男女別では、男性337万3,000円、女性257万8,000円でした。

 

5年前の2015年、正社員の平均年収は521万0,000円。男女別にみると、男性570万3,000円、女性406万5,000円でした。一方、非正社員の平均年収は287万5,000円。男女別では、男性327万5,000円、女性247万4,000円でした。

 

■正社員

(2015年)521万0,000円→(2020年)521万5,000円

■非正社員

(2015年)287万5,000円→(2020年)294万1,000円

 

正社員と非正社員の給与格差は、5年前の2015年には233万8,000円だったのが、2020年には227万4,000円と、約6万円ほど縮小しています。

 

この結果から、格差是正に向けた取り組みの成果と捉えることができますが、それ以上に注目すべきは、給与があがらないという事実。非正社員は5年で2.3%の給与アップとなりましたが、正社員は0.09%に留まります。格差が是正の方向に向かっているというよりも、給与が上がらず、必然的に正社員と非正社員の格差が縮まっているといったほうが、実情に近いでしょう。

 

国税庁による『民間給与実態統計調査』によると、会社員の平均給与は433万円。男女別に見ると、男性は532万円、女性は293 万円でした。コロナ禍の影響を受けて前年比マイナスを記録しましたが、この給与、1990年代初頭のころと同水準。この30年、日本では給与がほとんど上がっていません。一方、ほかの先進国に目を向ければ、給与は右肩あがり。いつの間にか日本は、世界でも物価の高い国から安い国へと変貌しました。コロナ禍前、外国人観光客が増加の一途でしたが、多くが「安い国・ニッポン」を目指してきたわけです。

 

格差是正はもちろん、給与アップも目指していかなければ、今後の日本に未来はありません。