厚生労働省は来年度の「年金額改定」において、夫婦が手にする年金額のモデルケースを示しました。その金額で、果たして老後、暮らしていけるのでしょうか。考えてみましょう。
厚労省、モデル夫婦「年金22万円」…これで「老後は安泰」だと言えるのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

余裕のある老後を実現するには、いくらあればいい?

将来、いくらくらい年金がもらえそうかをみてきましたが、将来、いくらあれば老後は安心して過ごせるのでしょうか。公益財団法人生命保険文化センター『令和元年度生活保障に関する調査』によると、現役世代は「夫婦で最低限、月22.1万円が必要」と回答し、「余裕のある老後を送るなら夫婦で36万円は必要」と答えています。

 

厚生労働省のモデルケースによる年金額だと、最低限の暮らしは保証される水準です。さらに余裕のある暮らしを望むなら月に15万円、年間180万円、仮に定年後20年の老後を見据えるとなると、3,600万円不足する計算になります。また会社員夫婦の場合は、月に9万円、年間108万円、20年で2160万円ほど足りません。

 

また総務省『家計調査家計収支編』(2020年)で高齢者夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上のみの無職世帯)の平均的な家計をみていくと、実収入は23万7,659円、そのうち公的年金は21万5,288円。また実支出は27万0,929円、そのうち消費支出は23万9,947円でした。この結果が「平均的な夫婦の老後」と捉えると、「現役世代が思っているほど老後にお金はかからない」といえるでしょう。

 

ただあくまでも、これらは統計調査の数値によるもの。実際にどれくらいかかるのかは夫婦それぞれですし、将来のことは誰にもわかりません。

 

大切なのは、これらを元に夫婦で老後のことをよく話し合うこと。そしてそれを元に、計画的に資産形成を進めていくことです。