通勤や通学の足として、利用している人も多い鉄道。国土交通省『鉄道統計年報』によると、日本には公営も含めて170を超える鉄道事業者が存在しているそうです。1年でどれほどの人を運び、どれほどの売上をあげているのか、みていきましょう。
全国「鉄道事業者」ランキング…トップは1年で65億人を運び、売上規模は1兆円超え (※写真はイメージです/PIXTA)

日本で最も「人を運んで儲けている」鉄道業者は?

さらに旅客収入にも注目してみましょう。トップは「JR東日本(東日本旅客鉄道)」で1兆7,928万円。2位は「JR東海(東海旅客鉄道)」で1兆3,6564億円、3位は「JR西日本(西日本旅客鉄道)」で8,568億円。3社とも日本の鉄道交通の大動脈である新幹線というドル箱を運営。特に上位2社は1兆円超えを実現しています。

 

旅客収入は当然、輸送人員が多ければ比例していきますが、有料特急の有無も大きく左右するところ。たとえば「東急(東京急行電鉄)」は、輸送人員では4位ですが、運輸収入では10位。私鉄で利用者はトップではありますが、旅客収入では長距離路線で有料特急を走らせる「東武鉄道」や「近鉄(近畿日本鉄道)」を下回っています。


 

【全国鉄道業者「旅客収入」トップ10】

1位「東日本旅客鉄道」179,280,156.7万円

2位「東海旅客鉄道」136,564,084.5万円

3位「西日本旅客鉄道」85,686,183.9万円

4位「東京地下鉄」34,654,276.3万円

5位「大阪市高速電気軌道」15,161,089.4万円

6位「東京都」15,131,146.7万円

7位「九州旅客鉄道」14,738,104.9万円

8位「東武鉄道」14,623,882.7万円

9位「近畿日本鉄道」14,602,946.9万円

10位「東京急行電鉄」14,077,844.2万円

 

出所:国土交通省『令和元年度 鉄道統計年報』

 

全国の鉄道業者の状況をみてきましたが、今回の数値はコロナ禍前のものです。

 

コロナ禍では、在宅勤務の広がりによる定期旅客収入の減少、インバウンド需要の消失と、鉄道業者は苦境に立たされ、経営悪化が心配されています。東急電鉄は2023年3月の運賃改定を視野に、初乗り運賃の値上げを申請しました。鉄道ビジネスは管理や修繕費用といった固定費が高く、このまま利用客が減れば、サービスを維持することが難しくなります。運賃の値上げは消費者には痛いところですが、安全な運航のためには仕方がないことだといえそうです。