きつい上に稼げなくなってしまったトラック運送業界は、慢性的な人手不足に陥っている。ドライバー不足を解消するため、新たな担い手の創造や生産性の向上など、あらゆるアプローチがとられているが…。ここでは「宅配ロッカー」について、物流ジャーナリスト・刈屋大輔氏が解説していく。 ※本連載は、書籍『ルポ トラックドライバー』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
宅配ドライバー不足「再配達は削減したい」…ユーザーに響かない事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

アマゾンが「専用の宅配ロッカー」設置を決めたワケ

そんな中、ネット通販最大手のアマゾンジャパンが独自の宅配ロッカーを整備していく、と発表した。2019年に東京都内や神奈川県内のコンビニや駅などに宅配ロッカー「Amazon Hubロッカー」の設置をスタート。2020年度以降は設置場所を全国にまで拡げていく計画だという(※)

 

※ 2021年11月時点で全国1,800ヵ所に設置。

 

アマゾンはここ数年、「サービスプロバイダ」と呼ぶ配達協力会社と、「アマゾンフレックス」による直接雇用ドライバーを活用した自社配送ネットワークの構築を進めている。

 

今回、アマゾンが専用の宅配ロッカー設置に動いたのは、宅配大手三社への依存度をさらに下げていき、将来的には配送の完全自社化を目指す姿勢の表れにほかならない。その戦略上、アマゾンには既存の宅配ロッカーに相乗りするという選択肢はなかったのだろう。

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宅配大手三社が足並みを揃えた「PUDOステーション」と、アマゾン独自の「Amazon Hubロッカー」。前述した通り、このまま利用率の伸び悩みが続けば、「宅配ロッカー」は、ドライバー人材不足の解決に向けたソリューションとして、さほど大きな効果が期待できそうにない。

 

 

刈屋大輔

青山ロジスティクス総合研究所代表