(※写真はイメージです/PIXTA)

自分の歯と同じ感覚で噛むことができ、長期にわたって使用できるといわれるインプラント……しかし、せっかく埋入しても「インプラント周囲炎」になり、インプラントを抜かざるをえなくなってしまう人も少なくありません。インプラント周囲炎の正しい知識と予防法について、世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める東京国際クリニックの清水智幸院長が解説します。

歯周病を治さずにインプラントを入れてはいけない理由

歯周病治療を完了しないまま安易に抜歯をしてインプラントを入れるのはとても危険です。その理由を見ていきましょう。

 

インプラントは天然歯よりも寿命が短い

治療によって歯周病を完治させた天然歯と、歯を失ったあとに入れたインプラントでは、インプラントのほうが抜け落ちるまでの時間(寿命)が短いことが明らかになっています。

 

天然歯が10年後に抜け落ちる確率が2.5%であるのに対し、インプラントを喪失する確率は8%になるという報告があります。

※ 出典: Pjeturon 2004,2012 Clinical Orak Implant Reasearch

 

このようなデータが出る理由としては、インプラント周囲炎になっていても食事や日常生活に支障が出にくいため、手遅れになり抜かざるをえなくなるというパターンが天然歯よりも多いことが考えられます。

 

埋入本数が増えるとインプラント周囲炎羅患リスクが高くなる

歯周病が重度にまで進行している方は、口腔内にあるインプラントが4本を超えるとインプラント周囲炎を発症するリスクが15倍になるとされています。

※ 出典:Derks et al.2016 Journal of Dental Research

 

インプラント周囲炎は、埋め込んだインプラントの周囲で起こる歯周病に似た病気ですので、放置すると顎の骨が溶かされ、せっかく入れたインプラントを抜かざるをえなくなります。

 

次ページ「インプラント周囲炎」の治療法・予防法は?

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。