定年を境に大きくダウンする収入。それをカバーするために、「年金の繰上げ受給」を選択するケースがありますが、そこにリスクはないのでしょうか。みていきましょう。
年金繰上げ受給…減額率「0.5%→0.4%」改善も見落としがちな落し穴 (※写真はイメージです/PIXTA)

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約8割の企業が60歳定年…収入はどれほどダウンする?

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均年金額は老齢年金で月額5万6,358円、厚生年金保険(第1号)の平均年金額は老齢年金で月額14万6,145円でした。

 

現在、年金の受給開始年齢は65歳。2013年、高年齢者雇用安定法の改正により、希望者は原則65歳まで継続して働けるようになりましたが、定年制がある企業が95%程度で、そのうち定年年齢を60歳とする企業が80%ほど、65歳とする企業が15%ほどでした。

 

さらに2021年には改正高年齢者雇用安定法が施行。企業は70歳までの雇用確保が努力義務となりました。高齢化が進むなか、ニーズに合わせて長く働く環境は整いつつあります。

 

ただ前出の通り、「いったんは60歳で定年」という企業が大半であることから、60歳は収入のターニングポイント。そのあとは嘱託社員になったりと、大きく収入を減らすことになります。

 

大卒男性会社員を例にすると、50代後半では835万6,000円だった年収は、60代前半では569万2,200円。定年を境に約30%ほど収入が減少する計算です。

 

【大卒男性会社員平均年収】

「20~24歳」334万2,100円

「25~29歳」440万4,900円

「30~34歳」523万4,900円

「35~39歳」610万3,500円

「40~44歳」687万6,100円

「45~49歳」758万6,300円

「50~54歳」869万0,100円

「55~59歳」835万6,000円

「60~64歳」569万2,200円

「65~69歳」490万5,100円

「70歳~」483万8,300円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より算出

 

あくまでも3割というのは平均値からの算出。実際はさらに減額となるのが一般的でしょうか。