学歴による貧困…大卒以上かどうかで5倍の格差
内閣府『令和3年子供の生活状況調査の分析』によると、調査対象となった子どものいる世帯の世帯年収は「1,000万円以上」が15.3%と最も高く、次いで、「500万~600万円未満」が12.2%、「700万~800万円」が11.2%、「600万~700万円」が10.5%。世帯年収1,000万円超えが1割超である一方で、「300万円未満」も1割超えという状況でした(図表)。
この結果を踏まえ、世帯年収による分類を行ったところ*、「中央値の1/2未満」が12.9%。「中央値の1/2~中央値」が36.9%、中央値以上が50.2%でした。報告書では「中央値の1/2未満に該当する世帯は、貧困の課題を抱えている」として分析を行っています。
*年間収入に関する回答の各選択肢の中央値をその世帯の収入の値とし(たとえば「50万円未満」であれば25万円、「50~100万円未満」であれば75万円とする)、その値を同居家族の人数の平方根をとったもので除す。そこで算出した値(等価世帯収入)の中央値を求め、さらに、その2分の1未満であるか否かで分類する
ほかの調査等では、等価可処分所得の中央値の半分未満の世帯を「貧困層」としていますが、本記事でも便宜上、「中央値の1/2未満」世帯を貧困層と称します。
では、まずは家族構成に注目していきます。
二人親世帯で貧困層だったのは7.5%なのに対し、ひとり親世帯の貧困層は50.2%。さらにひとり親世帯かつ母子世帯で貧困層は54.4%でした。二人親かひとり親かで貧困率は6倍強の差が生じています。
次に親の学歴。
母親が大卒以上で貧困層だったのは4.6%。対して母親が高卒で貧困層は19.7%。父親が大卒で貧困層だったのは5.3%に対して、父親が高卒で貧困層は14.1%。さらに両親ともに大卒以上で貧困層だったのは3.9%に対して、両親が高卒以下で貧困層は19.0%。親が大卒以上かそれ以下かで、貧困率に5倍もの差が生じています。
親の就労状況についてもみていきましょう。
母親が正社員(正規職員、会社役員含む)の割合は中央値以上で34.3%に対し、貧困層では17.4%。一方、父親が正社員の割合は中央値以上で91.5%に対し、貧困層では48.1%。男女差はあるものの、親が正社員かどうかで貧困率に2倍の差が生じています。