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公務員の年金制度…大きな変更で負担増も受給額は減少傾向
国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年、会社員の平均給与は433万円。一方、人事院『令和3年国家公務員給与等実態調査』から算出した国家公務員の推定年収は平均649万円。調査方法が異なるので、単純な比較はできませんが、一般的に会社員と公務員の給与は「大企業勤務の会社員>公務員>中小企業勤務の会社員」といわれています。日本企業の9割以上が中小企業で、会社員の7割以上が中小企業勤務といわれていることもあるのでしょう。「公務員は恵まれている」という印象をもつ人が多いようです。
そんな現役時代に対して、公務員の定年後はどういったものなのでしょうか。年金制度の改定で、近年、公務員の年金制度は大きく変わりました。簡単にみていくと、定年後の公務員がもらえる年金は、まずは「国民年金(老齢基礎年金)」。20歳から60歳まで保険料を満額で払っていれば、月65,075円(令和3年度)を受給できます。
そして「厚生年金(老齢厚生年金」。国民年金が年金制度の1階部分だとすれば、2階部分にあたる部分です。さらに3階部分、会社員であれば「企業年金」にあたる部分が「退職等年金」です。それまでの「職域部分」が廃止され、代わりに支給されることになったものです。
それまで職域部分の保険料は、現行の厚生年金にあたる「共済年金」の保険料に含まれていました。しかし制度変更後は別途保険料が必要になり、負担は増えたことになります。また2015年10月1日に職域部分は廃止されましたが、共済年金の加入期間に応じた職域部分は支給されます。退職等年金は、年金の半分を「終身退職年金」として、残りを「有期退職年金」(受給期間は原則240ヵ月)として受給します。
公務員の年金は、制度の大きな変更により、保険料の負担は大きくなり、受給金額は減る傾向にあります。よく「公務員なら退職後も安心」と聞かれますが、年金に関していえば制度の3階部分の差。退職金に関しても、前出のとおり、「大企業勤務の会社員>公務員>中小企業勤務の会社員」の図式はほぼ変わらないので、公務員であっても、老後を見据えた対策は必須だといえるでしょう。