平均給与は大企業並みといわれ、羨望の眼差しを受けることも多い国家公務員。一方で「もう働けない」とギブアップの声が聞こえてくることもしばしば。国家公務員の実態を、人事院の資料からみていきます。
もう働けない…「手取り額30万円」国家公務員、長時間労働に疲弊 (※写真はイメージです/PIXTA)

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大企業並みの「国家公務員の給与」に一部批判の声も

人事院『令和3年国家公務員給与等実態調査』によると、職員25万3,000人の平均給与(平均年齢42.7歳、平均経験年数20.9年)は、基本給33万6,333円、諸手当を入れて41万4,729円(関連記事:『【最新調査】国家公務員の平均月収、推定年収』)。手取り額は30万~32万円ほどです。

 

そもそも国家公務員の給与は「民間準拠」が基本。人事院『給与勧告の仕組み』には下記の通り記されています。

 

【給与勧告の対象職員】

公務員には、国家公務員約58.8万人と、地方公務員約275.5万人がいます。このうち、人事院の給与勧告の対象となるのは、「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」の適用を受ける一般職の国家公務員約28.0万人です。

 

【給与勧告の手順】

人事院では、国家公務員と民間の4月分の給与(月例給)を調査した上で、精密に比較し、得られた較差を埋めることを基本に勧告を行っています。また、民間の特別給(ボーナス)の直近1年間(前年8月から当年7月まで)の支給実績を調査した上で、民間の年間支給割合を求め、これに国家公務員の特別給(期末・勤勉手当)の年間支給月数を合わせることを基本に勧告を行っています。

 

【民間給与との比較】

●企業規模50人以上の多くの民間企業においては、公務と同様、課⾧・係⾧等の役職段階があることから、同種・同等の者同士による比較が可能

●現行の調査対象であれば、精緻な調査が可能

●民間給与との比較は、主な給与決定要素を同じくする者同士で比較する必要※国家公務員の人員数のウエイトを用いたラスパイレス比較

 

出所:人事院『給与勧告の仕組み』より

 

上記の結果、今年8月の「人事院勧告」では、「月例給は改定なし」「ボーナスは年間4.45月分→4.30月分に引下げ」、勧告後の平均給与(行政職俸給表(一))は「月額407,153円」「年間給与6,642,000円」、勧告前とは「年間給与で62,000円の減少」としました。

 

この結果に、

 

――民間並みというけど、民間企業の給与はもっと低い!

――優良企業だけをサンプルにしているんだろ!

 

といった批判が一部から聞かれました。

 

たしかに、統計調査で民間企業と国家公務員の給与を比較すれば、「大企業>国家公務員>中小企業」。さらに日本の会社員の7割が中小企業勤務という現状を考えれば、「国家公務員の給与は大企業勤務の会社員よりも低い」という事実よりも「国家公務員の給与は中小企業勤務の会社員よりも高い」という事実に焦点が当たるのは仕方がないのかもしれません。