賃貸物件は通常、経年劣化によって徐々に物件価値が落ち、同時に家賃も下がっていきます。これは仕方のないことである一方、「リノベーション」によってある程度回復させることが可能です。では、築古物件はリノベーションによってどの程度家賃を回復させることができるのか、実際に家賃上昇に成功した2件の中古ワンルーム物件のケースをみていきます。
世田谷・家賃9万8,000円・築30年超の畳部屋を「リノベ」してみた (※画像はイメージです/PIXTA)

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リノベーションによる価値とは何か

物件探しでは通常、不動産会社の担当者と一緒に候補物件を見て回ります。その際に、まず「ユニークさ」「オリジナリティ」があったほうが、入居を決めてもらう上で有利だといえるでしょう。

 

「人と会うときは第一印象が重要」などと言われますが、部屋も同様です。特にワンルームマンションであればなおさらでしょう。内装・デザインなど、最初の「見た目」はとても大切で、住むかどうかの判断に与える影響はとても大きいのです。

 

ただし物件オーナーが自分好みにリノベーションをしても、気に入ってもらえるとは限りません。それだけだとオーナーの好みと入居者の好みが一致するかどうか、偶然の世界です。

 

そうではなく、その物件のターゲットとなる入居者のライフスタイルを考慮して、「住みたい」と思ってもらえるようなデザインが必要になります。

 

そのなかでも水回りは重要です。なぜなら、女性を中心に水回りを重点的にチェックする人が多いからです。キッチンや、風呂・トイレなどの設備には細心の注意を払い、入居者の目にどう映るかを考えてリノベーションを行うと良いでしょう。

 

最近は、モノトーンを基調にした、落ち着いた雰囲気のモダンなデザインや、人気のカフェで取り入れられているような、木材やウッドプリントを使った自然な風合いのデザインが人気のようです。休日に、ゆったりとくつろげるような空間づくりが好まれています。

 

ここに住みたいと思われる、入居者が主役の賃貸物件

実はワンルームマンションのコンセプトとは、とても画一的なものです。都会的で機能的といったコンセプトで作られているワンルームマンションは、おそらく全体の9割以上を占めるでしょう。

 

たとえば「和モダンをイメージした部屋」といったようにエッジの効いたデザインコンセプトになっている物件を見たことがあるかというと、ほとんどの方はないと思います。

 

このように画一的なコンセプト、デザインで作られたワンルームマンションは「新しさ」「きれいさ」の勝負になってしまい、新築時の新しさやきれいさが失われてくると最後は「安さ」の勝負になってしまい、収益性を損ねてしまいます。

 

リノベーションによる中古ワンルームマンションの再生は、これとはまったく異なるコンセプトです。たとえば世界各地の住宅文化をイメージさせるような内装をデザインし、他では見られないような空間を提案することは、住む人の潜在的なニーズを刺激します。

 

オーナーの好みではなく、入居者マーケットのニーズがどこにあるのかを分析し、それに応えるのが正しいリノベーションのあり方です。

 

どんなデザインで勝負するのかも重要

それでは入居者マーケットのニーズに応えるデザインとは、どんなものが支持されるのでしょうか。

 

たとえば「アメリカ」をコンセプトにしたリノベーション物件では、さらに細分化された3つのコンセプトがあり、それぞれアーリーアメリカン、西海岸のライフスタイル、そしてニューヨークの都会的なイメージをそれぞれ表現します。

 

同じアメリカをテーマとしたデザインであっても、このように細かく選択肢を設けることで多様化するニーズに応えることができるわけです。

 

しかも、こうした内装デザインを実現するためには材料にも良いものを使うことが大切です。「ハリボテ」のような内装だと本当の意味でリノベーションとは言い難いでしょう。

 

「ここに住みたい」というだけでなく「長く住みたい」と思ってもらえるかどうかが賃貸経営の成否に深く関わるのです。

 

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