コロナ禍で大きな打撃を受けた航空業界。コロナ禍前は業界大手が人気企業ランキングでも上位にランクインしていましたが、その給与はどれくらいなのでしょうか。航空業界の給与事情についてみていきます。
航空業界の平均給与…「大手航空会社」と「その他航空会社」の間に広がる給与格差 (※写真はイメージです/PIXTA)

全日空と日本航空とその他航空会社…有価証券報告書から給与事情を探る

紆余曲折を経てきた国内の航空会社。2020年、売上は大きく減少しました。

 

【2020年国内航空会社売上】

1位 ANAホールディングス 7,286億円

2位 日本航空 4,812億円

3位 スカイマーク 340億円

4位 ソラシドエア 202億円

5位 スターフライヤー 182億円

6位 AIRDO 174億円

 

そんな航空業界の給与事情をみていきましょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』で産業別の給与を見ていくと、航空業界が分類される「航空運輸業」の推定年収は平均722万1,100円。大卒男性会社員に限ると、1,237万3,500円。かなりの高給の業界であることがわかります。それもそのはず。同調査で職種別に給与をみていくと、全職種で最も年収が高いのが、航空機操縦士で、推定年収は1,700万円超えとなります。

 

有価証券報告書から、企業ごとに給与事情をみていきましょう。全日空はホールディングスでの発表なので、日本航空とその他の航空会社を比較してみましょう。

 

日本航空の平均給与は678万4,000円。その他航空会社とは、100万~150万円程度の給与差が生じています。売上や従業員数からも分かる通り、同じ航空業界とはいえ、大企業と中小企業の給与格差が存在ます。

 

さらに地上社員、航空機操縦士(運航乗務員)、客室乗務員と、職種ごとに平均給与も比較してみましょう。それによると、航空機操縦士がずば抜けて給与が高く、平均給与を引き上げている構図がよく分かります(関連記事:『【2021年】全144職種「平均年収」ランキング』)。

 

■ANAホールディングス

563万7,000円*

(従業員:175人、平均年齢:45.2歳、平均勤続年数:3.85年)

 

■日本航空

678万4,000円*

(従業員:1万3,787人、平均年齢:39.2歳、平均勤続年数:14.5年)

*地上社員488万3,000円、運航乗務員1,769万5,000円、客室乗務員376万9,000円

 

■ソラシドエア

514万4,636円*

(従業員:918人、平均年齢:37.0歳、平均勤続年数:7.5年)

*一般従業員454万2,329円、運航乗務員1,103万5,253円、客室乗務員316万0,017円

 

■スターフライヤー

500万5,000円*

(従業員:846人、平均年齢:37.8歳、平均勤続年数:6.2年)

*一般従業員400万円、運航乗務員1,200万円、客室乗務員300万円

 

■AIRDO

559万5,928円

(従業員:928人、平均年齢:38.3歳、平均勤続年数:8.3年)

 

今回、有価証券報告書から航空業界の給与事情をみてきましたが、そこから見えてきたのは、大手と新規参入組の給与差。さらに航空機操縦士が高給取りの代表格であることが分かりました。

 

コロナ禍で大きな打撃を受けた航空業界。ボーナスの大幅減なども大きな話題になりました。新規感染者が減少し、旅行への機運が上昇している昨今。業界で働く人の給与の面でも明るい兆しがみえてきているのではないでしょうか。