FXをちょっとでもかじったことのある人なら耳にしたことがある「スイスフランショック」。この事件によって多くのトレーダーを破産に追い込み、世界的に人気のあった証券会社を破綻へと追い込んでいます。みていきましょう。
世界中のFXトレーダーが破産!「スイスフランショック」の全貌 ※画像はイメージです/PIXTA

スイスフランショックが起きた原因は何だったのか?

スイスフランショックが起きた直接的な原因は、スイス国立銀行が発表した「1ユーロ=1.20スイスフランの上限を廃止」することを発表したことです。

 

元々はスイスフランに上限を設定することによって、スイスフランの高騰を防ぎ、海外から通貨を買われることでの通貨の流通量の減少を防ぐというものでした。

 

しかし、当時の為替市場ではユーロ安が継続したことによって、相対的にスイスフラン安になることをスイス国民が問題視したことが発端となっています。

 

スイスでは2014年の11月に国民投票が行われて、スイス国立銀行の資産に一定比率の金を組み入れるべきという動きがありました。このときの国民投票では否決されましたが、このような動きがあったことでスイス国立銀行は国民からプレッシャーを掛けられる状況になったということです。

 

このような背景があり、スイス国立銀行は2015年1月15日にスイスフランの上限を廃止することを発表しました。上限が廃止されたことによってスイスフランの買い注文が殺到して、相対的に他国の通貨が安くなり、「スイスフラン高、他国の通貨安」の状況が瞬間的に引き起こされています。

 

アメリカの9.11テロ事件や、東日本大震災、現在のコロナショックのように世界中を巻き込んだような事件は為替市場の相場にも大きな影響を与えることになります。

 

しかし、近年の金融機関が発祥となる事件ではスイスフランショックを超える事件は起きていません。情報を調べていない人からするとスイスフランショックは突然引き起こされた災害のように感じるかもしれませんが、ポイントとなるのはスイス国立銀行が受けていた国民からのプレッシャーです。

 

ユーロ安が継続するということが予測できていれば、2015年1月15日に発表されなくても近い将来で発表されていた可能性は高いとされています。FX取引では現在の相場をチェックするだけではなく、世界情勢の趨勢もチェックしなければ安定して勝つことはできません。

政治的な要人の発言を注視していないと破産することになる

スイスフランショックでは、発表から数分~20分程度で相場が大きく変動したために起きた事件です。そのため、情報を知ってから行動をしても間に合わなかった可能性は非常に高いですが、政治的な要人の発言を注視していることで気付けることは多いです。

 

特に今回のケースでは、主に3つの要素があります。

 

・ スイスフランの高騰を避けるために上限が設けられていた

・ ユーロ安によって国民の不安が募った

・ 国民投票が行われる事態にまで発展している

 

このようになっていて、スイス国立銀行としてはスイスフランの上限を撤廃しなければならないほどに追い込まれていたとも考えられます。為替市場では単一の通貨だけの取引ではなく、必ず2つの通貨ペアの取引が行われることになるので、政治的・経済的な発言がきっかけとなって世界中の通貨の相場が大きく変動することも珍しくありません。

 

そのため、FX取引で安定したプラスを残したいと考えている方は、自分が主に取引をしている通貨ペアの情報だけではなく、総合的な情報を集めて分析をする能力が求められます。

 

まとめ

スイスフランショックは2015年の事件となっていますが、まだ記憶に新しい方も多いと思われます。

 

スイスフランショックのように、数分程度の時間で大きく相場が変動するような事件は珍しいですが、要人の発言によって数百pipsの変動があるのは珍しくありません。

 

常に情報を収集して分析することがFX取引でマイナスにならないために求められる能力なので、この点を鍛えるようにしたほうが良いでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員

 

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